このところビットコイン(BTC)への風当たりが強くなってきた。ビットコインには賛否両論が続いているが、JPモルガンチェースCEOであるジェイミー・ダイモン氏の「ビットコインは詐欺」やブリッジウォーター創設者のレイ・ダリオ氏が「ビットコインはバブル」、ブラックロックのCEOであるラリー・フィンク氏はマネーロンダリング(資金洗浄)の問題についても指摘した。
ウォール街だけでなく、欧州中央銀行の副総裁であるヴィトル・コンスタンシオ氏の「ビットコインはチューリップ」といった発言から、サウジアラビアのアル=ワリード王子も「ビットコインはエンロンのように崩壊する」と、立て続けに業界の大物が批判を繰り返すようになった。
中にはポジショントークも多く、毎年バブルだと言い続けるような人もいるので、あまりあてにはならないし、ビットコインを保有している方はこのような言葉をいちいち気にしていたら精神的に持たないだろう。1万円にも満たない頃から今日の60万円までバブルを懸念している人もいるくらいだ。
こういった発言の裏にはどのような意図があるのか、思惑を汲み取りタイミングを見てビットコインを購入する方もいれば、真に受けて狼狽してしまう方もいるが、ここまで批判されても市場が拡大しているのは紛れもない事実であり、ユーザーが増え続けていることは確かである。一部では金融機関がある種の脅威を感じているのではないかといった声も見られる。
また、楽観派も多く、アンチウィルス企業McAfeeの創設者であるジョン・マカフィ氏は50万ドル(約5,600万円)になるといった強気な予想をしていたり、ヘイマンキャピタルの創業者であるカイル・バス氏は「ビットコインはバブルではない」とも言っている。
スタンドポイント・リサーチの創設者であるロニー・モアス氏は以前、ビットコイン価格の見通しを2018年に5,000ドル(約56万円)あたりで予測していたが、7,500ドル(約85万円)に上方修正をしている。
今回、モアス氏は上述のダイモン氏やフィンク氏、アル=ワリード王子らの発言に対し、以下のように語った。
「ビットコインを批判する著名人は、ビットコインに脅かされている米国の銀行に多額の投資をしています。この人たちがビットコインを買うように勧めることはないと思います。何故なら自身のビジネスに傷を付けるからです。」
一部では強気だと言われることもあるが、モアス氏の見解は至って冷静だ。また、ビットコインの供給量が2,100万BTCと上限が決まっていることを踏まえて今後の見通しや価格にも触れている。
「ビットコインを決済手段とするユーザーが増えており、需要は高まっています。将来的にはより普及が拡大していく可能性があり、数年後には世界中で約2億人の人たちが数百万枚のビットコインを手にすることになります。その時には5万ドル(約560万円)になるでしょう。」
また、モアス氏は「5年以内にAppleの時価総額8,000億ドル(約90兆円)を追い越すでしょう。」とも話している。しかし、ビットコインについては明るい見通しだが、すべての仮想通貨を評価しているわけではない。
現存する1,000種類以上の仮想通貨の内、市場での時価総額の90%以上を占めている上位20にランクインするものだけに注目しているとし、その他の多くは「Pump and dump(価格操作)による詐欺行為」とも付け加えている。
金融業界の大物がこぞって仮想通貨に対して批判をする中、モアス氏は市場を冷静に見ている。以前のビットコインは2018年に5,000ドルが付くという予想も2017年10月には上回り、26日現在では5,800ドル(約66万円)ほどを推移している。(CoinMarketCapの統計より)
依然、乱高下を続けるビットコインだが、市場が拡大していることは誰から見ても明らかだろう。過熱ぎみなことは懸念されているが、異なった角度から考えてみることも投資していく上で一つの指標にはなるのではないだろうか。今後の相場動向から目が離せない。
参考:CNBC