依然、相場の乱高下が続く仮想通貨のビットコイン。資産家や投資家、金融関係者の間では、いつ暴落してもおかしくないといったバブルを懸念する声や、ビットコインはまだまだこんなものではないといった楽観的な声が散見される。
ECB(欧州中央銀行)の副総裁、Vitor Constancio(ヴィトル・コンスタンシオ)氏が現在のビットコイン市場の過熱ぶりからビットコインについてECBの会議の中で批判した。
Bloombergが伝えるところによると、この会議にはオランダ出身のESMA(欧州証券市場監督局)の局長、Steven Maijoor(スティーブン・マイヨール)氏とLCH.Clearnetの会長、Lex Hoogduin(レックス・フーグダイン)氏の2人も参加しており、その中でコンスタンシオ氏が「私は2人のオランダ人に囲まれている。ビットコインはチューリップのようなものだと言える。数日で50%から40%価格が上下するものに賭けたい人にとっての投機の道具であり、通貨ではない。」とオランダで17世紀に起こったチューリップ・バブルに掛けて発言したという。
ビットコインをチューリップと比較する人は少なくなく、先日「ビットコインは詐欺」だと話したJPモルガンCEOのJamie Dimon(ジェイミー・ダイモン)氏はチューリップよりも悪いと批判した。しかしこの後、JPモルガンが顧客のためにビットコインに関係する取引をしたことから、相場操縦のためのポジショントークではないかとの疑いも持たれている。
今回のコンスタンシオ氏の発言の真意は分からないが、ビットコインがECBにとって脅威ではないのであれば、あえて発言する必要もないことは明らか。ユーロ通貨圏の統制力が弱まることを懸念したとも考えられる。
また、ECBはビットコインなど非中央集権的な仮想通貨に対して規制を促すような動きがあったが、ブロックチェーン技術については実証実験を行うなど積極的な姿勢で活用を見出している。今後のユーロ圏での規制などの動向も注目されている。
しばらく相場が荒れているビットコインだが、25日現在では42万円前後で推移しており、長期的に見れば現在の価格も高水準である。ECB副総裁といった立場ある人間がこのような発言をしたことで影響が出るのか、今後の相場動向から目が離せない。
参考:Bloomberg