仮想通貨の過熱が危ぶまれている。世界各国の著名人や投資家、資産家たちの間で「ビットコインは詐欺だ」「暴落は免れない」などといった懸念する意見と「3年後に2万ドル(約220万円)になる」「3年後には50万ドル(約5,500万円)になる」といった楽観的な意見に二分され日々議論が交わされている。

先日はJPモルガンのCEO、ジェイミー・ダイモン氏が「ビットコインは詐欺」「取引するやつは間抜けだ」と発言したことも話題となり、この発言の後、一時4%ほどの下落が観測されたという。これが実はポジショントークで、この時にJPモルガンは内部でビットコインを購入したというルーマーまで飛び交った。

この後、立て続けに中国の仮想通貨に対する法規制が強まり、取引所の閉鎖や取引停止の措置を受け、仮想通貨市場全体的に相場が暴落した。さらに追い打ちをかけるかのように現在はOTC(店頭・相対取引)やP2P(Peer to Peer)、マイニング(採掘)なども規制される可能性があるとされ、中国のマイナーたちは地域を変えてマイニングファームを行う必要も出てくるのではとの憶測も聞かれるようになった。依然ボラティリティ(価格変動率)の高い相場が続いている。

ここに来て世界最大のヘッジファンド、Bridgewater Associates(ブリッジウォーター)の創設者であるRaymond Dalio(レイ・ダリオ)氏がCNBCのインタビューに対しビットコインに対しての見解を次のように述べた。

"It's not an effective storehold of wealth because it has volatility to it, unlike gold,"

「金と異なり、ボラティリティが高いため効果的な長期投資先ではない」

"Bitcoin is a highly speculative market. Bitcoin is a bubble."

「ビットコインは非常に投機的な市場。ビットコインはバブルだ」

確かにビットコインの市場はボラティリティが高く、他のものと比較しても投機的であることは間違いないだろう。しかし、それが直接バブルかというと疑問符が付くところではある。

しかし、世界最大の規模で約1,600億ドル(約18兆円)を運用・管理しているダリオ氏の言葉には重みが感じられる。以前、JPモルガンのダイモン氏は「チューリップより悪い」とチューリップ・バブルを引き合いに出したが、それもあまりピンとこないという声も散見された。

同じバブルだとするならば、ドットコムバブルのような考え方がしっくりくるのではないだろうか。Standpoint Research(スタンドポイントリサーチ)のロニー・モアス氏が伝えていたが、約20年前のドットコムバブルではナスダックに約800社の株式が上場していたが、現在の仮想通貨マーケットでも同数かそれ以上の仮想通貨が存在する。

しかし、貴重な企業を目指していたアップルやマイクロソフトなどに出遅れた多くの企業がナスダックからなくなっているのと同じく、20年後には多くの仮想通貨がなくなる可能性があるということであれば頷ける。

いずれにしろ、過熱気味という意味では変わりないかもしれないが今すぐにバブルが崩壊して、ビットコインがなくなるということは考えづらいだろう。

20日18時現在、ビットコインは44万円ほどを推移し、前日(24時間)比では0.2%のマイナスとほぼ横ばい。ビットコインはバブルなのか、バブルではないのか、こういった話がしばしば持ち上がるが、いずれにしろ時期がくれば分かる話だろう。市場からは今後の相場動向が注目されている。

参考:CNBC