ここ数日、全面安が続いている仮想通貨市場。ビットコイン(BTC)を筆頭に、時価総額上位の主要銘柄の多くは10%から20%ほどのマイナスと、軟調な相場動向です。

今回市場にショックを与えた根源として、各国で急がれている規制を警戒したものに起因すると考えられています。韓国では11日に法務部長官の朴相基(パク・サンギ)氏が取引所取引の禁止法案を準備していると伝えられ、これにより一時、懸念が強まりました。直ぐに韓国政府から取引禁止の規制はないことが明かされ、本来予定していた通り匿名での口座開設禁止になるとされています。

また、タイミングを同じくして中国でも規制強化の動きがあり、取引所と同じような機能を持つウェブサイトやアプリケーションを禁止する予定が伝えられています。しかし、完全にシャットアウトされるというわけではありません。

インドネシアでは仮想通貨の使用にあたって警告の声明が出され、ドイツ連邦銀行では、ヨアヒム・ビュルメリング理事が「国ごとで規制してもその効果は限定的なので、国際的に協力しあって規制することが効果的です。」と発言をしました。

一方、日本では麻生金融相が「なんでもかんでも規制すればいいとは思わない。」と発言しており、国によっても仮想通貨に対して見解が分かれています。いちユーザーとしては、使用禁止といった規制よりも日本のように改正資金決済法で認めた上で、各国姿勢を揃えられることが望まれます。

このような流れの中、慌てて狼狽売りが続き、市場は依然混乱しています。仮想通貨の国境を越えて取引ができるというメリットと引き換えに、海外の情報が入りにくいというデメリットがもろに出てしまったと考えられます。

しかしながら、仮想通貨市場がこのまま縮小し、すべてなくなってしまうかと考えるのは早計かもしれません。

市場全体の時価総額を確認すれば分かりますが、昨年12月には3,000億ドルから今年1月にかけて8,000億ドルまで急速に市場規模が拡大したため、一時的に調整局面に入っているとも考えられています。

仮想通貨時価総額グローバルチャート12月から1月
CoinMarketCapより

17日現在、仮想通貨全体の時価総額は5,140億ドル(約57兆円)ほどを推移しています。これは、12月の中旬と同じ水準です。短期的にはさらに下がると予測されますが、仮想通貨の可能性を考えれば、長期的には今以上に大幅に拡大していくでしょう。

仮想通貨の規制に関して先端的な日本では、大手企業による仮想通貨取引所や、その関連事業が控えています。SBIグループによる取引所、SBIバーチャル・カレンシーズや、グローバルな取引所、Digital Asset Exchange(仮称)、また、サイバーエージェントビットコインもこの春に開業を目指すと伝えられています。今月11日にはDMMによる取引所、DMM Bitcoinが開始されたばかりです。

この他にも多くの企業により仮想通貨に関連する事業や、仮想通貨の根幹技術であるブロックチェーン/DLT(分散台帳技術)の実用なども期待されています。

目先は不安定な相場かもしれませんが、こういった下落している局面で価格だけを見てパニックを起こさないようにご注意ください。また、冗談で買いだ売りだと騒ぐのは楽しいかもしれませんが、中には必要以上に不安を煽るケースも見受けられます。

酷い例では、「とある仮想通貨取引所に特定の銘柄が上場する情報がある」などとウソをつかれ、思わず高値で買ってしまったという人も見られます。相場の変動が激しい時に焦る人を狙ったフェイクニュースが横行することもありますので、情報の真贋を見極めるよう冷静な判断が求められます。

「売り買い休みの三筋道」とも言いますので、無理に動かずにそっとしておくのも戦略のひとつです。資産が数日で減少すれば、精神的にも疲弊してしまいます。精神衛生を守ることも投資をしていく上で大事なことですので、こういったことも念頭に入れておくことを推奨します。