仮想通貨のビットコインですが、中国のマイナーにより8月1日にビットコインキャッシュがハードフォークされ、誕生から早くも2ヶ月経ちます。

ビットコインキャッシュが作られる以前はマイナー・ユーザー間、また取引所など仮想通貨関連事業者など立場によって意見が分かれました。分岐直前にはビットコインキャッシュを目当てに買いに走る方や、その逆でビットコインの相場下落を懸念してパニックや狼狽売り、アルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)への交換などの声も相次いで聞かれました。

当初ビットコインはスケーリング問題解消のためにUASF(BIP148)を行う必要があるとされました。そこで、ブロックチェーンの分岐を避けるためにNYA(ニューヨーク協定)という話し合いを行い、SegWitを採用しさらにブロックサイズを2倍に引き上げることで容量確保を行うBIP91(SegWit2X)という案が多く支持されました。

しかし、UASFを行えば一時的に分岐は避けられるものの、SegWitを採用する必要があったため、既存のシステムでマイニングができなくなることを恐れた中国のマイニング企業Bitmainが反発、打ち出した案としてUAHFを実行し、ビットコインキャッシュが作られました。

今でこそ、ビットコインキャッシュは毎日活発に取引がされていますが、誕生直後はウェルカムよりも、どちらかといえば懸念の声が強く聞かれました。そのひとつの要因としてビットコインよりもサイズが大きく、マイニング(採掘)効率が悪かったということがあります。現在では多くのマイナー(マイニングをする人)や企業が積極的に参加しているため、ビッグサイズのビットコインキャッシュも毎日掘り進められています。

ビットコインキャッシュの懸念も落ち着いたころ、ビットコインがSegWitが無事にアクティベート(実行)され、これもコミュニティでは大いに話題となりました。しかし、これでは問題を先延ばしにするだけで根本的な解決には至らなく、11月ころには再度分岐されることになるため、第三のビットコインとして2Xコインが作られる可能性が出ています。

ここまでを整理すると、従来のビットコイン(BTC)、8月に誕生したビットコインキャッシュ(BCH)、11月に誕生予定のビットコイン2X(仮とします)。この3つが出回るわけですが、これに先がけて今月中にもハードフォークが行われる可能性が出てきました。

ここで誕生するのが、「ビットコインゴールド(BTG)」という仮想通貨です。このビットコインゴールドは香港のマイニング企業LightningASICから打ち出された計画で、10月25日にリリース、11月1日に取引所に上場予定としています。

ビットコインゴールドは簡単に説明すると、トランザクションを簡易化し、マイニングのハードルを下げたもので、個人のマイナーも参加できるようになります。

具体的にはビットコインに使用されているアルゴリズムを変更することで、従来のASICでのマイニングでなく、イーサリアムのマイニングなどでも使用されるGPUマイニング(グラフィックボードでのマイニング)ができるようになります。

実現されれば、多くの方がマイニングを行うようになるかもしれません。しかし、マイニングで得られる報酬との釣り合いなどが不明であったり、どのように分岐させるのか、概念なども不透明な点があるため少し様子見をした方がいいかもしれません。グラフィックボードが余っている方や、電力を使ってもいいという方はお試ししてみる分にはありだと思いますが、本格的にマイニングするには判断が難しいのが現状です。

また、ビットコインキャッシュが登場する前後には多くの不安や懸念が市場を駆け回りましたが、今回のビットコインゴールドが登場する10月25日前後もビットコインをアルトコインなどに避難させるか、JPY・USDなどフィアットに戻すか、ハードウェアウォレットに移動させるか、それともそのまま取引所に放置しておくか、さまざまな意見が見られそうです。

ビットコインキャッシュに続いて、ビットコインゴールド、さらに来月にはビットコイン2Xと4つのビットコインになるわけですが、ビットコインを巡って政治的な問題など複雑に絡み合っているため、8月にビットコインキャッシュがタダで貰えて儲かった、という方も今回は少し警戒しておいたほうがいいかもしれません。

4日現在、ビットコインは48万3,000円ほどを推移し、一時の暴落から回復の兆しを見せています。ビットコインキャッシュは4万4,500円前後。ビットコインキャッシュはこの1週間ほど軟調なので様子見が正解かと思われます。

ビットコインを巡る分岐問題は今後も続くと考えられますので、市場の動向と情報収集は欠かせません。また、混乱が起きそうなタイミングを狙ったフェイクニュースや煽りなども出ることが多いので、ご自身が信用できる情報をキャッチして、冷静な判断をするようご注意ください。リリースまで残りあと3週間、ビットコインゴールドの動向から目が離せません。