世界各地で仮想通貨への投資が賑わっています。スイスのように前向きに受け入れている国もあれば、中国のように厳しく規制されている国もあり、国が変われば、その熱狂ぶりも変わってくるかもしれません。韓国では急速に市場が拡大し、盛り上がりを見せています。しかし、日本とは様子が異なるようです。The NewYork Timesによって伝えられています。

日本では主にビットコイン(BTC)が小口の投機筋によって取引高の多くを占めています。これは改正資金決済法により仮想通貨に対する法整備が進められ、事実上合法での扱いとなっており、また、仮想通貨取引所が金融庁への登録制になったことでも個人投資家参入の後押しになっているためと考えられています。

最近の統計では、米仮想通貨取引所のCoinbaseは週に30万人の新規ユーザーを獲得したといいます。しかし、米国よりも韓国の方が熱狂しているようです。

韓国では、ビットコインのライバルである、イーサリアム(ETH)の取引量が多く、米国の6分の1の人口にも関わらずほぼ同量の取引がされています。CryptoCompareでの統計によると、リップル(XRP)やビットコインキャッシュ(BCH)は、ウォン建てでの取引がドルを上回っています。

仮想通貨の取引が数年に渡って成長してきた米国や中国の市場とは異なり、韓国ではわずか一年ほどで急速に仮想通貨市場が発展したために、このような数字が顕著に表れていると考えられます。

韓国のイ・ナギョン首相は仮想通貨の取引に懸念をし、特に市場に参加する若年層を心配していると述べました。

「学生を含む若い韓国人が急速にお金を稼ぎ、仮想通貨が違法薬物の取引やMLM(マルチ商法)などの違法行為に使われているケースがあります。」

韓国ではICOを禁止することを発表をしていますが、仮想通貨取引所に関しては現在、当局による監督を行っていません。

また、聯合ニュースによると、こういった投機熱の高まりや、仮想通貨取引所へのハッキングなどの問題が指摘され、韓国政府が仮想通貨に対しての規制を検討しているといいます。

法務部、国務調整室、韓国銀行、金融委員会、金融監督院、公正取引委員会、国税庁、警察庁、企画財政部、韓国インターネット振興院、放送通信委員会からなる「仮想通貨関係機関合同タスクフォース」が4日に行った会議では、韓国内外の仮想通貨市場の動向を調査し、今後の対策について協議をしました。

同会議では、仮想通貨を巡る深刻な問題について認識を共有、解決に向けて各当局が協力しあう形で合意し、法務部を中心として同タスクフォースを運営し、規制に向けた策定をしていくことになったとのことです。

以前、金融監督院では以前、仮想通貨を監督するつもりはないと意向を示しましたが、金融委員会では当局と連携し、仮想通貨に対する規制を検討していると、見方が分かれていました。

規制といっても、市場の違法行為から投資家を保護し、健全化を図る良い規制と、強制的に仮想通貨の可能性を排除するような悪い規制があります。日本の金融庁のような登録制になれば韓国での市場発展が期待できますが、どのような方針で進められるかは現状では明らかにされていません。

韓国の市場は活発で、今後の発展も期待されていますので、中国のように取引所の閉鎖などが起きないことを願いたいです。各国で急速に進められる仮想通貨に対する規制ですが、韓国政府からの今後の発表が待たれます。

参考:The NewYork Times , 聯合ニュース