このところ、ビットコインがバブルだとする意見や崩壊するといった見解も増えつつあり、資産家や著名な投資家からも過熱を懸念する声が散見される。

先日はJPモルガンのCEO、ジェイミー・ダイモン氏が「ビットコインは詐欺」と言ってみたり、ECB(欧州中央銀行)の副総裁、ヴィトル・コンスタンシオ氏が「ビットコインはチューリップ」と発言したことも話題となったが、懐疑的な面だけを挙げればキリがないだろう。

副総裁のコンスタンシオ氏の意見とは別で、ECB総裁のマリオ・ドラギ氏はECBは仮想通貨を規制する権限がないとした上で、仮想通貨に対しては、議論していく段階との見解も示したので、ユーロ圏でも一方的に締め付けをしたいわけではないと思われる。

楽観派ではアンチ・ウイルス企業のMcAfee創設者、ジョン・マカフィ氏がJPモルガンのダイモン氏の詐欺発言に対して「どちらが詐欺ですか?」と反論もしている。

また、マカフィ氏は過去に「ビットコインは3年で50万ドル(約5,500万円)になる」と、強気なツイートをしたことでも騒然となった。一説によると、これはビットコイン(BTC)ではなくてビットコインキャッシュ(BCH)であるとの情報も見られるが、何れにしろマカフィ氏は仮想通貨が盛り上がっていくことを確信しているようだ。

多くの著名人同士でビットコインなど仮想通貨に対して批判と支持の意見がぶつかり合っており、「もう飽きた」という方もいれば「もっとやれ!」といった方もいる。これから仮想通貨を買ってみようという方からは驚きと戸惑いの声が見られる。

さて、ここでまた業界の大物、モルガン・スタンレーのCEOであるジェームズ・ゴーマン氏が「ビットコインは単なる流行を超えている」とウォールストリート・ジャーナル主催のイベントで発言した。Bloombergにより伝えられている。

また、仮想通貨に対しても強く関心を示しており、「匿名通貨という概念は非常に興味深い。プライバシー保護にとって面白い。それを制御するにあたって中央銀行のシステムに暗示するものがある。」と語った。

ちなみにゴーマン氏は個人的に仮想通貨を買っていないという。ここで発言することにより、ポジショントークだと思われることを避けたのか、本当に買っていないのか真偽は不明だが、ゴーマン氏ほどの影響力ある人間がポジティブな発言をすれば、ビットコインなど仮想通貨市場への影響も出るだろうか。

中国の規制問題から先行き不透明なこともあり、ここしばらく軟調な相場だが、ビットコインは約47万7,000円と再度50万円を試す勢いだ。(CoinMarketCapの統計より、以下同)

時価総額2位のイーサリアムは3万5,000円前後、続く3位のリップルは22円ほどを推移しており、いずれも好調な兆しは見えてきている。

業界の著名人の発言はある種のエンターテインメントのようにとらわれがちだが、立場ある人の言葉の裏にはどのような意図があるのか、といったことも含め考えてみるのもひとつ参考になるかもしれない。市場からは今後の相場動向が注目されている。

参考:Bloomberg