とにかく激動相場だった8月の仮想通貨市場。とくにビットコイン(BTC)のハードフォークでの分岐は懸念される声も散見され、大きなニュースとなった。その他にも材料豊富で、多くの出来事があった。あくまで目安としてだが、上位主要銘柄の相場動向と9月以降の動きを考察するにあたって、今後の材料などを見ていきたい。
分岐からのSegWitで高騰のビットコインと、売り一巡のビットコインキャッシュ
時価総額1位不動の、ビットコイン価格だが、8月1日から4日までは1BTC/30~31万円ほどの横ばいとなっていた。5日には一気に高騰し35万円を突破、15日まで続伸し48万5,000円ほどまで高値を付けた。一時的に調整が入ったものの、しばらく40万円台半ばの水準を保ちつつ、29日には50万円を突破し、依然衰えを見せない。(CoinMarketCapの統計より、以下同)
まず、4日ころまでは分岐後からの様子見が考えられ、5日ころからはビットコインキャッシュが配布された。このあたりからビットコインキャッシュの売りが始まり、一巡というところで、ビットコインに買いが戻ったとの見方が強い。
9日にはSegWitがロックインされ、長く続いていたスケーリング問題の解決に向けて方向が定まり、24日のアクティベートまで乱高下をしながらも高騰。価格上昇の要因は主にこのあたりだと考えられている。11月には再度ハードフォークの可能性も残っているので、これを材料とするのであれば、盲目的にならず多角的な視点で見ておきたい。
ハードフォークが確定となれば、その前後でボラティリティが拡大することも考えられる。しかしながら、まだビットコインは伸びしろがあると思われるので、長期ホールドを覚悟であれば買っておくのもアリかも知れない。
一転して好調なイーサ、2倍近くまで上昇
時価総額2位のイーサリアム(ETH)だが、今月も激動の1ヶ月だった。とは言うものの、8月は7月と対象的な動きで、上昇を続けた。8月1日から4日にかけては1ETH/2万5,000円ほどを推移していたが、以降9日まで価格を上げ、3万5,000円と高値を付けた。多少の上げ下げはあったものの、9月1日現在では4万2,000円ほどの高値水準を保っている。
早ければ今月、遅くても10月中にはハードフォークが実行され、メトロポリスのリリースとなるため、期待が高まっている。懸念材料は今のところ見当たらない。
リップル(XRP)材料豊富だが、価格を上げるか?
8月は大いに盛り上げてくれたリップル(XRP)だが、9月も好材料が控えている。まずは、Ripple社のカウントダウンツイートが賛否両論あるが、話題となった。この前後の高騰の勢いは激しく、21日に1XRP/約17円だったが、23日には約32円まで上げた。
その後、10月16日から18日まで、カンファレンス「SWELL」が行われるという発表がされると、材料出尽くしで20円台前半をしばらく横ばい。また、Ripple社に中国人民銀行率いるチームの訪問があったことや、UAEエクスチェンジとの提携もされるなど、立て続けに材料が出ると28円まで上昇。底を固めるかのように推移している。
今後は9月12日にはSWELLの議論の内容詳細が発表され、また国内ではRipple社に出資をしているSBIホールディングス傘下の仮想通貨取引所、SBIバーチャルカレンシーズの開設も待たれている。SBIグループの会社で株式やFX(外国為替証拠金取引)など、投資をしている方が仮想通貨側に少しでも傾くことがあれば、国内の市場の活性化は間違いないだろう。また、同じくSBIは香港にSBIMAXをグローバルな仮想通貨取引所として、設立予定もあるので年内には期待したい。
ライトコイン、高値続伸勢い止まらないか?
ライトコイン(LTC)は、8月1日に1LTC/4,400円ほどだったが、ビットコインのSegWitアクティベート後から息を合わせるように上昇した。現在は8,000円前後で推移しており、一時は8,600円まで高値更新となった。一時的な調整はあると考えられるため、一旦様子見がいいかもしれない。
ビットコインとほぼ同じようなコインだが、国内では取引量も少ないし話題も少ない。ビットコインの代替としても考えられているので、SegWit2xの方向性次第では、大きな動きがあるかもしれない。
NEM(XEM)は潜在的な価値が高い
ビットコインキャッシュの登場により時価総額を6位に落としたネム(XEM)だが、8月1日に1XEM/18円から8日には33円と順調な出だしだったが、15日までジリジリと下落。25円から30円ほどで上下しながら、本日は36円と堅調だ。ちなみに31日には過去最高値となる38円まで更新した。
ネムは潜在的な価値が高いと考えられており、まだまだ大きく上げていくという予測が強い。9月2日には韓国でフォーラムを行うなど、期待できる材料も豊富だ。今後のNEMの動向とXEMの相場動向にも注目が集まっている。
金融庁の登録や法整備などで9月の国内市場はどう動くか
基本的には上位5銘柄ほどをバイ・アンド・ホールドしておけば、8月は利益が取れたのではないだろうか。これから年末にかけても、ホールドが正解かと思われる。仮想通貨はとにかくボラティリティ(価格変動率)の高い相場なので、短期で稼ごうと思えば大きく稼ぐこともできるがリスクが高すぎる。このころでは、「億り人」などとTVメディアへの露出なども増え、新規で参入したいといった方の声も散見される。
しかし、テクニカル分析をしてみても思うように動かないし、かと言ってファンダメンタルズが全てということでもない。情報も少ない市場なので、これから仮想通貨を始められる方や、最近始められた方はFX(外国為替証拠金取引)や株式などとは、全く異なる市場だということを理解したうえで慎重な判断で望みたい。
9月末が仮想通貨交換業者の登録期限
また、4月に施行された改正資金決済法で、仮想通貨交換業者の登録の猶予が9月末までと、1ヶ月以内に迫っている。このあたりで新規参入をしてくる企業もあるので、金融庁の業者登録に認められたところを選ぶのが安全かと思われる。条件がよくても、初めて仮想通貨取引所の口座開設をする際は、海外で知名度の低いところなどは注意が必要だ。また、今まで利用していた仮想通貨取引所の廃止なども考えられるので、そのあたりもしっかり確認をしておきたい。
先月はとにかく、ビットコインキャッシュ(BCH)の登場で始まり、ビットコイン(BTC)のSegWitアクティベート、リップル(XRP)のカウントダウン、ネム(XEM)はカタパルトが実装されるのか注目が集まり、ネムの価格と直接的に結びつけるものではないがCOMSA関連なども話題となった。他にもさまざまな材料・イベントが多い。とにかく情報の多い仮想通貨市場。今月も新たな材料が出て来ると思われるので、引き続き追っていきたい。