名門投資銀行モルガン・スタンレーが、クレディ・スイス銀行に12年務めたベテランで、仮想通貨取引の専門家であるAndrew Peel氏をデジタル資産市場の新しい代表として雇用したことが明らかになった。7月31日、イギリスのヘッドハンティング会社であるeFinancialCareersが報告した。
ビジネス特化型SNSのLinkedInに掲載されたプロフィールによれば、Peel氏はクレディ・スイス銀行のセールス及びトレーディングイノベーション部門で副会長を3年務め、「ビットコインを含む仮想通貨の取引の専門家」としての役割を果たしたと記されている。さらに、2013年6月時点では「仮想通貨市場の主唱者」という肩書も記されている。
仮想通貨の熱狂者を同社のチームに呼び集めるモルガン・スタンレーのスタンスというのは、他の巨大な金融セクターと比べれば比較的穏やかなものであるとされている。
2017年の秋には、JPモルガンのCEOであるJamie Dimon氏が「ビットコインは詐欺」、「チューリップの球根よりも酷い」と批判している。クレディ・スイスのCEOであるTidjane Thiam氏がビットコインを「バブルの典型」と言ったのも同様のスタンスである。
しかし、それとは対象的にモルガン・スタンレーのCEOであるJames Gorman氏は、ビットコインを「投機的である」と警戒する一方で、中央銀行システムへの「興味深い挑戦」とも語っており、ビットコインはブロックチェーン技術が招いた「自然な結果である」という見解を示した。
また、モルガン・スタンレーは、2017年12月にシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)とシカゴ・オプション取引所(CBOE)がビットコインの先物取引を開始したわずか1ヶ月後の2018年1月に、同様に自社の顧客へビットコインの先物取引の提供を開始している。
伝統的な金融セクターから仮想通貨業界へとシフトする人物も昨今は増えてきている。米メディアのフォーチュンは先月、仮想通貨業界にフォーカスした「40歳以下で影響力のある40人」(40 under 40)を公表したが、その中にはゴールドマン・サックスの役員の一人Rana Yared氏や、デジタル資産担当副社長のJustin Schmidt氏、JPモルガンでブロックチェーン事業を率いていたAmber Baldet氏などがいる。
昨今話題となっているETF承認もだが、こうした巨大投資家の積極的な姿勢は、仮想通貨愛好家にとっても良いニュースと言えそうだ。