8月10日、シンガポール金融管理局(MAS)は、投資家に向けて仮想通貨のICO(イニシャル・コイン・オファリング)によるトークンに関して正しい知識を持つよう注意喚起を促した。

昨今、ICOなど仮想通貨関連への投資家たちの関心が高まっている反面、日本国内でも課題のひとつとして、これらに対するリスクなどの理解を深める必要が講じられている。

仮想通貨などに関連する投資にMASが注意喚起

1日にMASが米証券取引委員会(SEC)同様の姿勢で一部デジタルトークンに対する規制を行う可能性があることを発表したが、今回はさらにそのリスクについて詳細のアナウンスをして呼びかけている。主に6つに分けられているが、これは日本国内でも仮想通貨やICOなどに投資をする際に気を付けたいこととして共通する。MASによるアナウンスの内容を以下にまとめたのでご参考頂きたい。

オンライン業者や外国との取引

ICOや仮想通貨関連の取引は基本的にインターネットを使い、オンラインでのやり取りが主であるが、海外を拠点とした事業者も多いため、国外の法律が適用されるなど、国内での規制の範囲外に及ぶ可能性があること。

実績の少ない企業への投資

ICOなどで資金調達をするということは、そのトークンの販売側の実績が乏しいことがある。この限りでもないが、多くの企業はこれから集まった資金を元手にプロジェクトの運営や開発をしていくということを理解した上でその企業やプロジェクトが信頼に値するものか、見極める必要がある。

市場での流動性の不足

ICOに出資する上で気になる点として取引所などで上場(トークンの取り扱い)されるか、といったところに焦点があてられる。しかし、このハードルを越えたからといって実際に取引が少なければ、安値でしか価格が付かなかったり、所謂公募割れの可能性も起こりうる。これはMASによって規制対象にはならない場合もある。

極めて投機的な投資

多くのトークンは評価額が不透明で、投機的である。例えば、トークンが販売元の資産に対する所有権など価値の対象となるものを保持していない場合は、トークンは有形資産としては認められない。こういったトークンは投機でしかなく、その相場もごく短期間で大幅に変動することも多く見られる。最悪のケース、購入したトークンがすべて無駄になる可能性も考えられる。

ハイリターンを謳う投資

ハイリターンを謳ったり、約束するものにはとくに注意する必要がある。 約束された配当など収益が高ければ高いほど、そのリスクは高くなりうる。これはICOなどに限らず投資全般に言えることである。

マネロンとテロ資金

ICOでは、匿名性の高い取引や短期間での資金調達が可能になるため、マネーロンダリング(資金洗浄)や犯罪に利用されることもある。つまり、知らずに犯罪行為に加担(資金の提供など)してしまう恐れも考えられる。法執行機関がトークンの投資スキームを調査すれば、出資者側に悪影響が出る可能性もある。

このようなことに注意したうえで、MASにより規制されているかを確認するよう、注意を呼びかけている。

日本国内でも法整備が進められているものの、現状では一部規制が緩いと思われる点もあり、事業者、消費者や投資家など立場によって賛否両論ある。しかし、リスクについてはMASのアナウンスと同じようなことも考えられるので、仮想通貨やICO投資をする際には、このようなことにご注意願いたい。

参考:Monetary Authority of Singapore