マスターカードが、身元データ(ID)の保存と確認を行うブロックチェーンシステムの特許申請をしたことを12日、米国特許商標庁(USPTO)が公開しました。

マスターカードはブロックチェーンの活用に研究・推進していますが、一方ビットコインに対しては懐疑的な姿勢で政府や中央銀行といった管理者不在で裏付けがないといった見解を示しています。そのことから3月にマスターカードの幹部が中央銀行発行のデジタル通貨(CBDC)のみ受け付けると強調したこともありました。

従来、身元確認をする際には主に公的な身分証明書(運転免許証やパスポート)などで行われてきましたが、それだけの証明では偽造により不確かなケースがあるため、完全な偽造を特定するのは困難だと指摘しています。これの対策として身元データを不変の状態で保存するためのソリューションに、改ざんできないブロックチェーンのメリットを活用していくのが狙いだと思われます。

特許文書では、ブロックチェーンシステム上で身元データを分散した形として保管する事で不正使用を防ぐ仕組みについて概説しており、権限のあるノードだけがシステムデータを提出・更新できるシステムで、公開型ではなく、一部公開させる半非公開型のブロックチェーンソリューションを提案しています。

同社は他にも昨年11月に即時決済のブロックチェーン技術の特許を申請しており、企業間で決済を行うブロックチェーンシステムを昨年の10月に発表している事から、ブロックチェーン技術に決済システム全体を移行させようとしていることは明らかです。

今月にはアイルランドにてブロックチェーン技術に関わる専門家やエンジニアを採用する事も発表しており、ブロックチェーン関係での先端を進む決済サービス企業としても今後の動向に注目されます。

参考:USPTO