10月30日、SBV(ベトナム国家銀行)がビットコインなど仮想通貨による支払いを禁止することをアナウンスした。
ベトナム国家銀行によると、ビットコインやそれに類似した仮想通貨を使用して支払うことは合法的な手段ではないとし、ベトナムでは仮想通貨の発行、供給、支払い手段としての使用は禁止されているという。
2018年1月1日からは、さらに厳罰化され、仮想通貨を違法に使用した場合は1億5000万から2億ベトナムドン(約75万円から100万円ほど)の罰金が課されることになるという。
ベトナムのIT最大手FPTソフトウェアを擁するFPTグループが設立したFPT大学が10月26日に学費をビットコインでの支払いを受け付けることを発表した矢先のことであり、FPT大学ではビットコインなど仮想通貨をきっかけにブロックチェーン技術について学生が学ぶ機会になることも期待している。
しかしながら、ベトナム国家銀行では、FPT大学がビットコインを法律上での支払手段として扱うのであれば、現行法で違反行為として制裁を行う可能性もあるという。
ベトナムのような地域こそ、ブロックチェーンやDLTといった技術発展が望ましいと考えられるが、学びの機会まで奪ってしまうのは行き過ぎていると思えなくもない。これも致し方ないことなのだろうか。
ベトナムのグエン・スアン・フック首相は以前、2018年までにビットコインを管理する法的枠組みを作り、決済手段として認める方向で取り組んでいるとしていたが、中央銀行との見識は異なるようだ。2019年9月までに解決策の提案をする予定なので、仮想通貨に適用する法整備が整うまでの措置といった可能性も拭いきれない。
各国で仮想通貨を巡る法的規制など、枠組みづくりが進められている。好意的であったり、全面禁止としたり、国によって異なっているのが現状で、例えば中国では仮想通貨の取引やICOなど一切を禁止している。米国では取引は容認しているが、SEC(米証券取引委員会)がICOについて特に注意喚起をしており、MAS(シンガポール金融管理局)でも同様の姿勢が伺える。
日本においては改正資金決済法によって法整備が進められており、7月から消費税撤廃、10月からは仮想通貨交換業者は金融庁での登録制となった。先日は金融庁からICOのリスクに対して注意喚起がアナウンスされるなど、法律の範囲内での健全な市場づくりが進められている。
マイナー、ユーザー、開発者、関連事業者、金融機関や政府など立場によって、仮想通貨に対する考え方はさまざまだが、いちユーザーとしては、行き過ぎた規制により仮想通貨市場を縮小させることがないように願いたい。
参考:Vietnamplus , SBV