27日、金融庁がホームページ上で、ICO(イニシャル・コイン・オファリング:仮想通貨の発行による資金調達)について利用者・事業者に向けて注意喚起をしました。

ICOは企業などが、電子的にトークンを発行し、公衆から資金を調達する行為の総称で、「トークンセール」とも言われるとし、主に注意するべき点として利用者に対して以下のようなリスクがあることを説明しています。

1、価格下落の可能性

トークンは、価格が急落したり、突然無価値になってしまう可能性があります。

2、詐欺の可能性

一般に、ICOでは、ホワイトペーパー(注)が作成されます。しかし、ホワイトペーパーに掲げたプロジェクトが実施されなかったり、約束されていた商品やサービスが実際には提供されないリスクがあります。また、ICOに便乗した詐欺の事例も報道されています。

(注)ICOにより調達した資金の使い道(実施するプロジェクトの内容等)やトークンの販売方法などをまとめた文書をいいます。

トークンを購入する際は、上記のリスクがあることや、プロジェクト内容などを理解した上で自己責任で取引するようにも注意が必要です。

ICOを巡っては多くのトラブルが散見されます。実態のないプロジェクトや架空の人物、架空の会社などがウェブサイトのみで行っている例もありますので、ICOのサイトやホワイトペーパーに書いてある内容をすべて鵜呑みにするのではなく、その会社や人物がどういった人かを調べた上で参加されることが望ましいと考えられます。

中にはSNSや直接紹介などで「絶対稼げる」、「必ず儲かる」といった根拠なく言い寄ってくる例もありますので、参加を検討する際には上記内容を確認した上で出資されるようにお気を付け下さい。

また、金融庁では利用者だけでなく、事業者についても規制面で以下のように注意をしています。

ICOの仕組みによっては、資金決済法や金融商品取引法等の規制対象となります(注)。ICO事業に関係する事業者においては、自らのサービスが資金決済法や金融商品取引法等の規制対象となる場合には、登録など、関係法令において求められる義務を適切に履行する必要があります。登録なしにこうした事業を行った場合には刑事罰の対象となります。

(注)ICOにおいて発行される一定のトークンは資金決済法上の仮想通貨に該当し、その交換等を業として行う事業者は内閣総理大臣(各財務局)への登録が必要になります。また、ICOが投資としての性格を持つ場合、仮想通貨による購入であっても、実質的に法定通貨での購入と同視されるスキームについては、金融商品取引法の規制対象となると考えられます。

仮想通貨での資金調達であっても、実質的に法定通貨と同等に扱うスキームにおいては、金融商品取引法の規制対象となる可能性もあり、登録を行わないでこういった性質のICOを実施した場合、刑事罰の対象にもなるということですので、ICOを行う際は法的に問題がないかを確認し、規制について不明点があれば管轄の財務局に確認するようお気を付け下さい。

仮に悪気がなくても法律に抵触した場合、知らなかったでは済まないこともありますのでご注意下さい。今後もICOや仮想通貨に関する法整備、注意喚起が行われることも考えられますので、これからICOの事業を始めようという方は特に法律に慎重になる必要があります。今回の金融庁からの注意喚起は投資家保護の観点からだと思われます。利用者・事業者ともにルールを守った上での健全な市場づくりがされていくことが望まれます。

参考:金融庁ホームページ(PDF)