ここのところ、高騰している仮想通貨のビットコイン。主に米国や日本、中国での取引が多いが、「仮想通貨」というものの決済手段として利用される機会は少ない。約20万台に感染され、世界的に猛威をふるったランサムウェアの「WannaCry」がビットコインで支払いを要求するなどの事件もあったが、あれだけの大事で被害額はドルに換算して11万3,000ドル程度(約1,250万円)。

WannaCryを解除するためには300ドル分ほどのビットコインで支払いを要求していたのだが、一部では払いたくても支払い方法が分からないといったことや、どこで購入すればいいのか分からないという声も見られた。仮想通貨ではメジャーなビットコインだが、それでもこれほど認知・普及されていないということにも着目したい。

また、仮想通貨を巡る犯罪はランサムウェアなどマルウェア解除の支払いでの要求だけでなく、投資詐欺などにも使われている。2015年には岐阜県の70代女性が投資会社の社員を名乗る男性から仮想通貨「リップル」を購入すれば儲かるといった主旨の電話をうけ、リップルの購入代金として1億1,000万円の現金を騙し取られるといった詐欺事件も起きている。同様の手口のもので茨城県の80代女性も3,500万円の被害にあっているなど、高齢者を狙った電話での勧誘など悪質なものも見られ、現在もこのような詐欺行為は増加傾向にある。

最近ではこのような、電話での勧誘だけでなく、知人を通した勧誘やセミナーでの勧誘による詐欺被害も見られる。やはり、「必ず儲かる」といった主旨の説明をされたり、「利息が付く」などのうそを言われて、真に受けてしまい事実上取引のない口座などに支払ってしまうといった内容で、後日出金しようとしても引き出せないという。普段投資と遠い人が狙われるケースも目立ち、「仮想通貨の種類も仕組みもよくわからないけど、知人が言うのだから大丈夫だろう」という心理を巧みに利用し、お金を貪りとるとは、極めて悪質と言える。

国内で仮想通貨を法定通貨と交換をするサービスを提供するには「仮想通貨交換業」へ登録する必要があるので、知人やセミナー、電話営業などで仮想通貨購入の勧誘をされた際には、相手が仮想通貨交換業者に登録しているか、必ず確認をするように注意して頂きたい。

また、繰り返すが「必ず儲かる」と言われたら知人だろうと誰だろうと間違いなく詐欺だと警戒して頂きたい。投資の世界で「必ず儲かる」という商品はあり得ないし、そもそも本当に「必ず儲かる」のであればわざわざ手を広げて人に紹介するだろうか。疑問を感じざるを得ない。

仮想通貨は値動きが激しいため、投機としてますます投資家たちの注目を浴びているが、上述した通り、投資家以外の知識に乏しい人を狙った悪質な詐欺行為があとをたたない。少しでも怪しいと思ったら相手にしないよう、このような手口以外にも新しい詐欺や犯罪行為が見当たれば伝えていきたい。

今後国内でもさまざまな企業が決済手段に取り入れていくとして、投資家のみならず、多方面から仮想通貨に注目が集まる中、本来の意味どおり通貨として普及される日は来るのだろうか。