SBIホールディングスとSBI Ripple Asiaは7日、両社が事務局を務める内外為替一元化コンソーシアム(邦銀61行からなる企業連合)において、DLT(分散型台帳技術)を活用した送金スマホアプリ「Money Tap(マネータップ)」を発表しました。
このマネータップではリップル社のソリューションであるxCurrentを実装した「RCクラウド2.0」を活用し、まずは住信SBIネット銀行、りそな銀行、スルガ銀行の3行が対応、2018年夏~秋頃のリリースを目指しており、随時、マネータップに対応する銀行の増加を見込んでいるとのことです。
マネータップは、送金の際に銀行口座番号が分からなくても、登録された「電話番号」や「QRコード」を使い、数タップで任意の銀行口座宛に24時間365日、リアルタイムかつ安全に摩擦のない送金をすることが可能です。
利用シーンとしては、食事や飲み会などでの少額決済や割り勘、海外留学をしている子供への送金、ネットショップでの支払いなどを想定しています。この他にも給与受取用の口座から生活用の口座に送金するなど、自分の口座同士で送金する際の煩わしさも解消されます。
こういったP2P(ピア・ツー・ピア)での利用に加え、将来的には外為機能の追加や、B2P(ビジネス・ツー・ピア)といった法人向けソリューションとしての機能強化も計画しています。また、デジタルアセットとの組み合わせとして、ブリッジカレンシーにXRPを活用することも視野に入れています。
SBI Ripple Asiaの代表取締役社長である、沖田貴史氏は各国で進むキャッシュレス化を引き合いに出し、以下のように述べました。
「スウェーデンではキャッシュレス化に向けて銀行側が積極的に取り組みを行っており、Swishというペイメントサービスが普及しています。(普及率60%)アジアでも動きが活発になってきており、タイやシンガポールなどで増加傾向にあります。」
また、内外為替一元化コンソーシアムの取り組みとして、“銀行だからできること”を追求していきたいとし、以下のように続けました。
「(日本国内においては)様々なフィンテック企業による無料の送金アプリがありますが、これは資金決済法に準拠していますので、一度プリペイドのバリューに置き換えて送金するやり方をとっています。これは実際に出金ができなかったり、出金の際に手数料がかかります。マネータップは銀行主導の決済ソリューションですので、銀行口座をそのまま使うことができ、非常に使いやすいUX(ユーザー体験)を提供できるのではないかと考えています。」
先日、サンタンデール銀行がxCurrentを活用した送金アプリを4ヶ国展開でリリースすることを発表し、話題にもなりました。仮想通貨と言えば投資・投機的な部分が注目されていますが、今後はその根幹技術であるブロックチェーン技術/DLTが実際に身近な生活で役立てられていきます。
諸外国と比較しても、キャッシュレス化に遅れをとっている日本ですが、銀行主導の送金アプリ「マネータップ」が、キャッシュレス化の後押しとなることでしょう。マネータップは2018年夏~秋頃、iOS/Android対応でリリース予定です。