仮想通貨の普及が進むに連れて、その根幹技術であるブロックチェーンの活用にも関心が集まっている。

ブロックチェーンやDLT(分散型台帳技術)はデータ改ざんや取引の不正防止、セキュリティ管理やその他にも新たなモデルを作り出す可能性を秘めている優秀な技術には変わりない。銀行などの送金技術から医療、食品衛生やエネルギー分野などでも注目され、多くの企業が実証実験を行っている。

ブロックチェーンと聞いてイメージする対象といえばビットコインが代表的だろうか、多くの方は仮想通貨や、その投資的側面を見ているかと思われる。また、場合によってはマネーロンダリング(資金洗浄)や犯罪資金の取引など悪用されることも懸念され課題となっている。

米サンフランシスコに拠点を置くRipple(リップル)社のCEO、Brad Garlinghouse氏が実名制Q&AサイトのQuoraに寄せられた質問に対して回答した。

「ブロックチェーンは新しい“ビックデータ”や“AI(人工知能)”のようなものです。あまりにも多くの人々が流行語としてブロックチェーンを使っているが、実際の問題解決には集中していません。私たちはそういった人たちを“Blockchain tourists(ブロックチェーンの観光客)”と呼んでいます。科学実験以外にも多くのアプリケーションで利用できます。」

技術者以外の口からも耳にする機会が増えてきた“ブロックチェーン”だが、以前のビッグデータやAIといった言葉と同じ並びで、革新的な技術には関心があっても実験段階でとどまっており、実用化されずに言葉だけが使われているという事も少なくない。こういった事例に対しブロックチェーンの観光客として例えたものと考えられる。また、Quoraでの回答では続けてこのようにも答えている。

「ブロックチェーンのために実装されている用途の中には、実際にデータベースで活用できるものもあります。ブロックチェーンはほとんど適用できないためリップルは実際の非常に大きな顧客問題を解決することができます。」

リップルの技術といえば、送金速度や手数料などコストダウンによる効率化などが挙げられる。ここでは、具体的なブロックチェーンの名前については触れていないが、リップル社の技術には確信を持っている構えだ。また、現在155兆ドル(約1.75京円)以上もの国際送金が行われており、この市場が抱える問題を解決することで、価値のインターネットを高めるとし、そのビジョンを次のように語った。

「世界中の何十億もの人々を接続して即座に取引する。」

「全く新しいビジネスと産業を生み出す。」

「そして財政的な囲い込みを増やす。」

ブロックチェーン技術やDLTといった新しい技術は過去にインターネットがそうだったように、完全に社会に受け入れられるまでには時間が必要だと多くの場で議論がされている。今月16日にはカンファレンス「SWELL」も開催されるが、ここでも何かしらの大事な発表を控えているようだ。リップル社の今後の動向からますます目が離せない。

参考:Quora