香港のSFC(証券先物事務監察委員会)は5日、ICO(イニシャル・コイン・オファリング:仮想通貨の新規発行による資金調達)に現行法の範囲内で適用可能とする規制内容を発表した。

今回の声明では、場合によってはICOにより販売されているトークンは、証券先物法で定義されている「有価証券」にあたり、香港の証券法の規制対象となるとしている。

一般的にICOは、ブロックチェーン技術を使用して発行されるデジタルトークンを販売するものだが、有価証券と同等に見なされるものも含まれる可能性がある。このトークンが有価証券の定義に当てはまる場合、取り扱う際や、助言、またはトークンに投資するファンドの運営、マーケティングをするには規制する必要があるとしている。

SFCの声明によると大きく分けて3つの特徴が有価証券と見なされる。

1、「株式型」

ICOで提供されるトークンが法人の持分または所有権を表す場合は株式と見なすとし、例として、トークンの購入者が配当を得られる権利や、企業の残余財産分配請求権などがトークン保有者に与えられるもの。

2、「社債券型」

トークンを使って、発行者が負う債務または負債を認める場合は債券と見なすとし、例として、トークンの購入者に支払われた利子や、設定された日付など償還時に、その元本をトークン保有者に与えられるもの。

3、「集団投資スキーム型」

ICOによって集まった資金をプロジェクトに投資し、トークン保有者がその収益の一部を得られるもの。所謂、投資信託やファンドのようなもの。

また、香港市民を対象としてICOを行う場合は会社の所在地に関わらず、SFCの認証を得る必要があるという。

主に投資家保護の観点から、このような措置が各国で目立つようになってきたが、今回のSFCの規制への取り組みはSEC(米証券取引委員会)MAS(シンガポール金融管理局)が注意喚起をしていく一連の流れと同様に姿勢と考えられる。

日本国内ではまだ一般的にICOは浸透していないが、中には悪質と思われるものも散見される。各国で、法整備が進められる中、国内でもICOに対して注意喚起をしていく必要があるのかもしれない。

参考:SFC