アメリカの財務省がロシアに対する制裁に関して、制裁逃れのために暗号通貨が大規模な方法で使用される可能性については懸念していないことを明らかにした。「違法な資金調達の媒体としてのシェアは現金に比べて大きくない」と高官は述べた。
ロイターとのインタビューで金曜日に財務省のネリー・リァン次官はロシアの制裁について回答。制裁回避のツールとして暗号通貨が使用されうるのではないかといった問いかけにたいして答えた。
リァン次官は暗号通貨市場に対して、経済規模が現在十分な大きさに達しておらず、エコシステムが未発達であり、大規模な制裁回避を効果的に促進するに足る性能を有していないと説明した。
また、財務省は今回のロシア制裁に関わらず常にこの問題を研究してきたことを明らかにし、G7を筆頭に様々な国が違法な資金調達のための暗号通貨の使用について懸念を表明してきたことを説明。暗号通貨の使用が増えてはいるが、違法な資金調達のためのシェアは現金によるものほど大きくはないと強調した。
同様の主張はこれまで主要暗号通貨取引所のBinanceやCoinbaseなどからされてきており、法的な義務が発生するまではロシアからのアクセスに対する規制などを行わないことを明言してきている。
一方で、ヒラリー・クリントン氏など経済制裁の回避策として暗号通貨が利用される懸念を抱く人々は未だにおり、アメリカのエリザベス・ウォーレン上院議員は木曜日に、ロシアのエリートが経済制裁を逃れるためのデジタル資産の禁止を求める法案を提出した。
これに対して専門家は「不必要で、広範で、違憲である」と反対の姿勢を貫いたが、バイデン大統領は暗号通貨規制に関する大統領に署名し、財務長官に、関連するすべての機関と協力して、お金と支払いシステムの将来に関するレポートを作成するように指示した。
制裁は一概に合理性のみで行われることではないだけに今後どのような決断が行われるかは引き続き注視が必要そうだ。