中国内の大手モバイル決済アリペイが、全仮想通貨での決済禁止を10月10日に発表した。今月9日に香港に拠点を構える仮想通貨取引所のバイナンスでCEOを務めるジャオ・チャンポン氏が、アリペイとWeChatでビットコインが買えると中国内に向けて話したばかりである。

アリペイはこのような“アリペイでビットコインが購入可能”といった話しが次々となされている事態を受けて、店頭取引を含めて「もし仮想通貨での決済が見つかったら、すぐにサービスを取りやめる」と強調した。また、WeChatを運営するテンセントもWeChatでの仮想通貨のやり取りを禁止すると語っている。

アリペイは中国市場のモバイル決済シェアの半数以上のシェアを占めており、現地での普及率もさることながら、日本においても中国からの観光客向けに小売店舗で導入が進むなど、国際的な影響力をもつ決済手段となっている。

今回、仮想通貨の購入禁止を明言したアリペイだったが、本来は中国自体が人民元の流出を防ぐなどと言った理由で仮想通貨の取引やICOなど大規模な規制を敷いている。

そんな状況にも関わらず中国では仮想通貨でのやり取りが盛んに行われているという事情もある。まず人民元の価値の下落がおきたとき、外国への投資が難しかった中国において資金の避難先として上り調子だったビットコインが最適だったこと、そして土地代や電気代が安いことなどからマイニングの土壌としても人気が出た。

中国独自のこういった事情があるなか、黙認状態であればまだしもバイナンスという大手取引所が、仮想通貨の購入にアリペイを推奨するような動きをされてはアリペイが政府から処罰を受ける可能性もあるため、迅速かつ強行ともいえる対応に出たのだろう。また、別の組織であるバイナンスがあたかも関連サービスのようにアリペイブランドを利用しようとしている誤解を解き、バイナンス側へ牽制する姿勢を見せたとも取れる。

参考:Alipay(twitter)