神奈川県警は10月2日、振り込め詐欺の容疑で1000万円相当のビットコインを騙し取ったとして、東京都練馬区に住む牧野祐貴容疑者ら3人を詐欺の容疑で逮捕した。ビットコイン送金をめぐる特殊詐欺事件の立件は全国初となる。
警察は先月、別の詐欺事件で牧野容疑者らを逮捕し、拠点としていた都内のマンションの部屋から押収した携帯電話の通話履歴などを調べた結果、今回の事件に関わった疑いがあることが分かった。
逮捕された3人は詐欺グループのメンバーと報じられ、この3人は今年8月~9月頃にかけ、岡山県倉敷市に住む70代の男性に電話をかけ、実態のない暗号資産の売買ソフトの転売を持ちかけた上で、後日名義を貸してのソフトの転売は違法であり、和解のためにはソフト代金を全額支払う必要があるとし、約1000万円相当のビットコインを送金させた疑いがかけられている。
特殊詐欺という名目での逮捕は今回が全国で初めてではあるが、今年だけでもビットコインを騙し取る被害が4件確認されているため、この3人に対し余罪を追求している。
また、キャッシュレス決済におけるポイント還元を絡めた手口でこのようなケースは今後増えるとの見方もある。消費税増税が与える家計へのダメージへの緩衝材として講じられたポイント還元だが、人々が求める「お得」を搦め捕る手口には枚挙に暇がない。
今回の岡山のケースはあくまでソフト売買を利用した特殊詐欺だが、キャッシュレス決済における還元セールは、一時期話題となった還付金詐欺に似ているようにも感じる。
今後こういった報道は増加していくことが考えられる。特定の手口のみに警戒するのではなく、出所不明の儲け話やお得な勧誘などには一層注意が必要だろう。