現在大きな経済危機に立たされているベネズエラでニコラス・マデュロ大統領は、国民がもうじき仮想通貨で国内外含めて送金できるようになると発表した。
アメリカは今ベネズエラの反政府側を支援し、現政権を締め出すために経済制裁をかけており、今年8月5日にはアメリカ内のベネズエラの政府資産を使えなくしたり、国の主力となっている石油産業にも睨みをきかせるなど徹底的だ。
さらに268万%とも言われるハイパーインフレが起き、犯罪が横行し国民が逃げ出している事態に発展しており、国全体が壊滅的な状態にあると言っても良い。こうした背景をニコラス大統領は仮想通貨によって対策しようとしている。
2018年にベネズエラは独自の仮想通貨ペトロを発行しており、国内の銀行にペトロ用に窓口を創る事を要請しているなど、その普及方法が無理矢理だと批判も起きているようだが、なりふり構っていられない事情もあるのだろう。
ちなみにペトロはベネズエラの石油価格に保障されたステーブルコインであり、1ペトロは1バレル分になる。この事から石油は主力産業としてあり続けるという自信の現れが伺える。
とは言え、国内のビットコインの取引高が今年9月において過去最高を記録したり、仮想通貨ビットコイン用ATMを設置など、ビットコインとイーサリアムの追加の検討も含めて、決して独自通貨のペトロだけに頼っているわけではない。
なお、アメリカから経済制裁を受けている国が、その対策のため仮想通貨を用いて国内外の送金を行う事例は他にもある。
北朝鮮は独自の仮想通貨を作り、イラン政府は仮想通貨もアメリカの経済掌握の対象とされながらも、マイニングは可能だと正式に発表しているなど、それぞれの国が仮想通貨に対して希望を込めている。
国家間や政権の勢力争いなどに振り回され、日々を穏やかに過ごすことのできない国民たちにとって仮想通貨が救済となることは出来るだろうか。
参考:Bloomberg