金融庁が9月30日に公表した金融商品取引業者向けの総合的な監督指針の一部改正案では、仮想通貨などを投資対象とする投資信託を組成する販売について、投機性を助長する可能性があり適切ではないという考えが示された。金融庁がこのような意見を発表した背景には最近注目されているビットコインETFの話題が背景にありそうだ。

市場ではビットコインETFが出ることへの期待がありつつも、価格面では慎重姿勢を示す値が出ている。過去、仮想通貨の熱狂的な購入に人々が殺到したことへの懸念からか金融庁は立場を表したと見られる。特に金融庁が気にしているのは投機性の部分だろう。投機性が高いということは資産運用ではなくギャンブルの分野に近くなってしまう。

こうした中、金融庁側は今までとは異なるアプローチとしてパブリックコメントを求める対応をはじめた。あくまで今回発表されたのが改正案であり、本決定の際には異なる結論が出ている可能性も考えられる。日韓関係の報道などで昨今パブリックコメントが取り上げられたことにより、パブリックコメント自体の認知度も上がってきたように思われる。

このような対応をするのも、キャッシュレス社会の波に逆らわない形を自らのみの判断ではなく、国民からの意見も組み込む姿勢を見せることで避難を避けたいという狙いが一つ。そして、市場にどのようなルールがあるべきなのか、さらなるアイデアが出てくることも期待しているのではないだろうか。

パブリックコメントは今月中を期限に募集されている。郵便やFAXのほかにもインターネットで意見を述べる事が可能だ。

今までの金融庁の姿勢で言えば有識者により密室でルール策定をし、法案とする形をとっていたが、開かれた柔軟な態度を見せてきた。

個人としても企業としてもキャッシュレス化を望む声は大きく、今後行われる東京五輪や大阪万博に向けて、訪日する外国人観光客のためにもグローバルな決済手段として仮想通貨は一つ選択肢としてあがるべきなのかもしれない。また、世界的に日本が注目される機会も増えていくため、仮想通貨関連において日本が優れているところをアピールしたい点もあるだろう。

参考:金融庁