数週間にわたり、6,000ドル前後を推移してきたビットコイン(BTC)だが、この7日間で11%近くまで上昇し、一時7,000ドルにタッチするまでに回復した。
この反騰は果たして持続するのだろうか?現時点でビットコインが過大評価されているのか過小評価されているのかを判断するための基準はない。それでも、いくつかの強気な兆候が見られた。
仮想通貨市場全体の底上げ
一つ目は、ビットコインの値段のラリーが、仮想通貨業界全体に広がったという点だ。この7日間でトップ100にランクインしている仮想通貨のうち、価格が下がったのはたったの5つだった。他の95は全て上昇している。これは、新しい資金が、主要な通貨だけでなくセクター全体に流入していることを表していることになる。これは復活を助長した強気なテクニカルサインである可能性が高い。
有事のビットコインという見方
二つ目の兆候は、ビットコインが再び“新たな金”のような役割をし始めているという点だ。かつて“金”は、ウォールストリートが崩壊した際に復活を遂げた。貴金属が不確実性に対する唯一のヘッジであった時代だったからとも言えるだろう。金は政治的、または経済的な混乱の時に投資家が頼る実物資産であり、“有事の金”とも言われる。
今は、ビットコインがその役割を担いつつある。例えば、ここ5日間でビットコインは上昇傾向を見せているが、これは金利の方向性や、米国と中国の貿易戦争の見通しに対する懸念が強まったことで、従来の金や株式よりもビットコインへ関心が集まった。デジタル通貨がこの5日間で7.95%上昇する一方で、SPDRゴールドトラストは横ばい、S&P500は0.3%の上昇までとなった。
昨年、北朝鮮のミサイル発射や南シナ海を巡る中国の海洋戦略など両国の活動が活発化していた際も、ビットコインは今回と同様のパターンを見せていた。しかし、金には見られなかった。これがビットコインが“新たな金”と呼ばれる所以である。
SEC(米証券取引委員会)の見解
最後の三つ目の兆候は、ビットコインが仮想通貨市場における不正行為と戦うSECの取り組みに積極的に対応し始めているという点である。ビットコインの投資家は政府の規制をしっかりと理解しており、政府がコインの供給を制限することで、市場参加者との信頼関係が構築されてきている。これはデジタル通貨の未来にとって、とても前向きな動きと言えるだろう。
先日、BitMexの共同創設者でありCEOのArthur Hayes氏が、SECの規制整備を好材料と捉えてビットコインは年末までに5万ドル(約550万円)に達するという見解を述べたばかりだが、確かに規制が整備されさえすれば、強気相場に転じる可能性も十分考えられる。市場では期待感を高めはじめているようだが、上昇がどの程度持続するかを巡っては注意を要する必要がありそうだ。