仮想通貨やブロックチェーン技術を採用する金融機関の数が増えている中で、取引所もまたその流行に加わってきています。

米大手メディアのニューヨーク・タイムズによると、NYSE(ニューヨーク証券取引所)の親会社であるアメリカのICE(インターコンチネンタル取引所)は、大口投資家へ向けて仮想通貨ビットコインへの投資を可能にする取引プラットフォームの準備を進めていることが分かりました。

ICEは“スワップ取引”を使ったビットコイン取引のモデルを検討中で、複数の金融会社との協議を行なっていると報じられておりますが、このスワップ取引というのがネックとなっているようです。スワップ取引なら顧客は翌日にはビットコインを持てるようにはなりますが、この契約システムはビットコインベースの取引を間接的に規制するとされているCFTC(商品先物取引委員会)のルールと規則のもとで行われております。

取引プラットフォームの詳細についてはまだ明かされておりませんが、このプロジェクトに精通しているとされる関係者の方の情報によると、上記の理由などから最終的には実現しない可能性もあるとのことです。

先月、ナスダックのCEOのアデナ・フリードマン氏は、「もし規制問題が整理されれば、仮想通貨取引所を作る可能性もある」と述べ、取引所への関心を示しました。さらに、米ゴールドマン・サックスは先週、仮想通貨取引デスクの開始を発表しました。

仮想通貨は、分散型で中央集権に頼らず、匿名性が高い取引通貨として人気を集めてきました。しかし、その高い変動性や、ビジネスの基礎と評価メカニズムに関する明確性の欠如、資金洗浄、銃器や薬物の取引といった違法な行為に対する匿名的な使用があることから、多くの個人や企業は懐疑的な姿勢を取っておりました。

ビットコインは、自由で分権化された簡単でボーダレスな支払い方法として行動することを目指して発足しましたが、当初の目的を破った投機的な手段に見られています。

ウォーレン・バフェットのような大物投資家も、投資商品としては繰り返し批判をしてきました。昨年12月には、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)グループがビットコイン先物取引を開始しましたが、依然として投機的な性質の商品として注目されております。

今回のICEによる専用取引プラットフォーム開発の発表や、ゴールドマン・サックスのようなウォール街の銀行によるトレードの採用は、仮想通貨の新たな武器として役割を果たしてくれる可能性があります。

これまで主流の金融機関はそれらを避けてきましたが、いよいよ金融界のビッグネームたちも仮想通貨業界に乗り込んできますので、今後ウォール街といった主要の市場で仮想通貨の参入が進んでいく流れになっていくでしょう。

参考:The New York Times