ドイツ自動車メーカー大手のポルシェが車両にブロックチェーンを導入するテストに成功したことが分かりました。コインテレグラフによって伝えられています。

ポルシェはベルリンに拠点を置くスタートアップ企業である「ゼイン」と提携し、車両にブロックチェーン技術を応用する方法を研究しており、ブロックチェーンを使ったドアロックの仕組みや車両から得られる様々な情報をデータ化し、さらに暗号化して活用する事を検討しているとのことです。

このテストではブロックチェーンを活用することで車の施錠を6倍高速化することができており、効果を実感しています。

ポルシェ財務戦略担当のオリバー・ドゥーリング氏は以下のように述べています。

「ブロックチェーンを使うことでより速く安全にデータを転送できるとして、この革新的なテクノロジーを顧客の直接的なメリットに繋げたい。」

しかし、ブロックチェーン技術を車両に応用する事でメリットもあれば、デメリットもあると言えるでしょう。

メリットとして、ドライバーが万が一行方不明になったとしても、車両がどのように進んでいったのか追跡する時にブロックチェーンによって警察の捜査に役立つ事や、車両事故がどのようにして起こったのかをドライバーの証言と実際に起きた事を検証することができるため、保険会社との連携も考えられます。これは大きなメリットの一つではないでしょうか。

デメリットとしては個人のプライベート性においてどこまでブロックチェーンを適用させるのか、倫理面においても今後話し合いの場が必要とも言えます。人によってはすべてブロックチェーンを使う事で追跡されているという心理的嫌悪感に働く方もおられるために、メーカーがどれくらいブロックチェーン使っていいものか検討する必要があるのも課題の一つでしょう。

ポルシェとは別にすでに車両にブロックチェーンを導入しようとしている国があり、それがUAE(アラブ首長国連邦)です。

同国のドバイの道路運輸局(RTA)はブロックチェーン技術を使った車両のライフサイクル管理システムを2020年に開始する計画としており、車の維持やメンテナンスが必要な際にブロックチェーンを通すことでメーカーや修理工場がその時期を知ることができると構想しています。

一般的には「ブロックチェーン=仮想通貨」という認識がまだ強く、投機・投資的要素として資産価値を求める人が多いのが現状ですが、このようにブロックチェーン技術が車両に使われていくことなど、将来身近な生活にも利用されていくということも知っておきたいところです。

参考:コインテレグラフ