今年5月、イギリス領バミューダ諸島にある「エスエー・リインシュランス」の銀行口座から約1億5500万ドル(約170億円)がアメリカの銀行口座へと不正送金されていた事件で、先月29日に日本の会社員を逮捕した。

逮捕された会社員はソニー生命の従業員で、エスエー・リインシュランスはソニー生命の子会社。ソニー生命は不正送金発覚後すぐに警視庁へと相談し、逮捕へと至り、今月20日に起訴された。

被告は不正送金した現金を一時暗号通貨ビットコインへと変換し隠し持っていたが、犯行が発覚し逮捕された際にビットコインは押収された。ビットコインは押収時点でおよそ207億円の価値になっており、横領された170億円分はエスエー・リインシュランスへと返還されるが、差額の37億円の行方については現状未定であることが報じられている。

刑法第19条に「犯罪行為によって生じ、若しくはこれによって得た物又は犯罪行為の報酬として得た物」は没収することが出来るとあるように、国庫に収納される可能性が高いが、170億円を運用できなかった逸失利益がソニー生命から請求されるものと見られる。

一方で「逸失利益の賠償責任はあれど、増やした金は本人のもの」や「真面目に運用するより単純にビットコインへ投資するほうが儲かるのは皮肉」といった声もネットでは見られた。

被告はエスエー・リインシュランスへと出向中に金融資産の現金化など整理作業を行っており、犯行当時はテレワーク中に自宅からエスエー・リインシュランスの銀行口座へとアクセスし、上司の承認を偽装して会社から自分の口座へと送金し、ビットコインへと変換していた。

警視庁は「素早く捜査を開始できたため被害金の行方を把握することが出来た」「暗号資産で犯罪収益を隠すことはできない」とコメントした。