16日、加トロントで開催されているRipple(リップル)社主催のカンファレンス「SWELL」にて前FRB(米連邦準備制度理事会)議長のベン・バーナンキ氏が基調講演に登壇し、ビットコインについて以下のように見解を示した。

「ビットコインは法定通貨と入れ替わることを規制の枠組み外で試みている。私はそれが成功するとは思わない。」

ビットコインについては懐疑的な意見や見解も多く、主に犯罪やテロ資金に使われることやマネーロンダリング(資金洗浄)に悪用されてしまう例も見られる。これは投資家保護や犯罪防止のためには決して無視できない課題でもある。各国で規制当局により法整備が急がれており、例えば日本では金融庁が仮想通貨交換業者の登録を義務付けたり、改正資金決済法の下で法的管理をするなど進められている。

しかし、その根幹技術であるブロックチェーン技術については多くの政府機関や企業が活用の可能性を見出しており、先日はリップル社では米国・メキシコ間での国をまたいだ国際送金にも成功させている。

先日、「ビットコインは詐欺」と発言したJPモルガンCEOのジェイミー・ダイモン氏もブロックチェーンには関心が高く、JPモルガンはブロックチェーンの開発にも携わっている。

バーナンキ氏もビットコインが法定通貨の代替手段になることを否定しながらもブロックチェーンについては理解を示した。

「FRB、イングランド銀行、日本は、支払いのシステム改善に向けて、ブロックチェーン技術を非常に支持している。」

また、バーナンキ氏は銀行にブロックチェーンソフトウェアを提供し、規制当局との連携のために仮想通貨リップル(XRP)を持つリップル社を賞賛した。

バーナンキ氏はセキュリティ面においても触れており、複数のコンピューターをによって改ざん防止を実現するブロックチェーン技術は、国際的なバンキングシステムにとって多くの可能性があることを認めた。

元FRB議長としての立場もありながらこういった前向きな発言をされるとは心強い。先日、リップル社はビル&メリンダ・ゲイツ財団と提携し、新しいオープンソースソフトウェアMojaloopを発表した。

リップル(XRP)はこの一時上昇したが、材料出尽くしからか2日間で相場を下げている。18日現在は約26円ほどを推移しており、また新たな発表があれば価格に影響があるかもしれないので、このあたりは注目しておきたい。

仮想通貨を巡っては残念ながら犯罪に悪用されることもある。結局は利用者がどう使うかの問題であり、犯罪者が増えることで市場参加者の減少など仮想通貨市場を縮小させるようなことはないよう願いたい。

参考:FORTUNE