国内モバイル大手のNTTドコモが8日、決算説明会においてweb3へ多額の投資へ踏み切ることを明かした。今後5~6年をかけて5000~6000億円の投資を見込んでいるという。
web3の開発には総合コンサルタントのアクセンチュアと共同で取り組み、ブロックチェーン、暗号通貨交換、暗号トークンの発行といったweb3技術の機能を開発し、提供していく。
株主へ向けた説明でドコモの井伊社長は「儲からなければクビになる」と述べた。
web3は「言葉だけが独り歩きしているバズワード」と見なす声も多く見られ、その定義についても曖昧な部分が多い。概ねブロックチェーンテクノロジーなどを用いた、分散型ネットワークによるインターネットの再構築といった見方をされることが多いが、基礎研究に近い段階で収益化はおろか本格運用の筋道も未定と言える技術である。
この分野へクビを掛けて大きな一歩を踏み出した通信の巨人ドコモに勝算はあるだろうか。
質疑応答においては非代替トークン(NFT)サービスやメタバースといった近年注目を集めるテクノロジーを引き合いに出し、ドコモ自身がそういった事業者になる可能性は示唆しつつも、そういった事業者向けのプラットフォームやインフラを提供する立場を目指す考えを明かした。
また、トークンは発行・流通・手数料の徴収といった三位一体のサービスと井伊社長は説明し、個々のサービスはすでに存在するが利用する際に各サービスに対応する必要があり、横断のための障壁が存在すると語っている。そういった中でエンドユーザーが望むのが「手続きが簡単で安心して使える環境」と述べ、ドコモのweb3における使命を表現している。
膨大な投資金額となるが内訳は現段階では公表できないとしており、金融業としての運転資金や開発のための人件費、必要な技術を持った企業のM&Aなどに使用される見込みと語った。
web3分野へ向けた新会社の設立なども想定されており、大手通信事業主の少なくない金額の新規事業となるため今後の続報も注視していきたい。