仮想通貨のミキシングサービスを提供しているBest Mixerが5月末に欧州当局からの摘発で強制停止を余儀なくされたのに続き、6月には大手のBit Blenderもサービスを停止するなど相次いでミキシングサービスを提供する業者の閉鎖が続いている。
そんな中、ビットコインのミキシングサービスで知られているBitcoin Mixerが、イーサリアムのブレンドサービスを取り組みことによりサービス機能を改善したことを発表した。
日本ではミキシングサービスは、まだあまり知られていないサービスだが、海外では利用者のプライバシーや匿名性を守るサービスとして知られるようになっている。
仕組みとしては、仮想通貨の取引データを複数混ぜ合わせることで、送金元となる保有者の特定を判別できないようにしたり、取引による資金の流れを辿れないようにすることが出来る。
匿名性については仮想通貨でもダッシュやモネロ、ジーキャッシュなどが匿名性の高い仮想通貨として知られているが、決済や利便性に関しては若干使いづらさを感じる面があった。
資金移動の匿名性というとマネーロンダリングなど悪い印象を与えがちだが、中央集権により取引の追跡など避けるために匿名性を重要視している人々も少なからず存在する。
象徴的な例では、反政府運動のデモなどが度々繰り広げられている中国・香港では日本に先駆けて交通系電子マネー・オクトパスカードが普及しているが、デモ参加者などは自身の動向を追跡されないために現金で切符を買う生活に逆戻りしている点や、通貨危機に見舞われているベネズエラにおいては、政府による資金監視を逃れるためにこういったサービスは資金洗浄などとは異なった正当な動機のある需要が高まることは予想される。
著名な仮想通貨のほとんどは利用するとき、ブロックチェーンの性質上必然と言えるが、取引履歴が全て記録に残るため追跡はたやすく、取引所に個人情報を預けてあればアドレスとの結びつけもでき、個人情報が漏洩すれば万人の知るところとなる恐れもあるため、誰がどこに送金をして何を購入したのかまで白日のもとに晒される可能性もあり得るが、ミキシングサービスを利用すれば受け取った仮想通貨がウォレットから完全に分離され、取引履歴も消去されるため、仮想通貨の履歴を追跡される可能性がない。
ミキシングサービスに対する需要はたしかにあるにせよ、マネーロンダリングに対する手段が確立されるない限りは一定の規制がされることは想定されるため、利用を考えるのであれば情勢は常に把握しておく必要があるだろう。