SEC(米国証券取引委員会)は14日、詐欺目的でICO(イニシャル・コイン・オファリング)を実施したとして、トマホークコイン(TOM)の運営者に対し、役員就任禁止令、投機的安物株禁止令、罰金3万ドル(約334万円)を課したと発表した。
トマホークコインは、デビット・ローランス氏が経営するトマホーク・エクスプロレーション社を通じて運営されていた。
2017年に実施したICOでは、500万ドルの目標額は集まらず、調達した資金は、実際は資格がないにも関わらず、カリフォルニアで油井10カ所を掘るのに使うと虚偽の説明をしていた。
またローランス氏は、証券取引における詐欺の前歴を持っていたが、これを公表していなかったため、今回の摘発は連邦証券法における登録と不正防止の規約に違反しているとされている。
SECのサイバー部門チーフのロバート・コーヘン氏は今回の事件について、昔からよくある石油やガスのようなスキャムに対し、投資家は改めて気を引き締め、それらはブロックチェーン技術を用いた革新的なICOに見せかけていると言及した。
今回のエピソードのように、SECはICOに対してかなり厳しい姿勢を示しており、規制の制定を急いだようにも見える。今年5月には、投資家に対しICO詐欺の典型例をを示すために、模擬のICOサイトを構築し公表している。
先月、ICO諮問企業の一つであるサティスグループは、2017年に行われたICOの80%以上が詐欺であったと発表している。
ロシアのサイバーセキュリティ大手であるカスペルスキー・ラボズによれば、今年4~6月期に発生した仮想通貨関連の詐欺による被害額は230万ドル(約2億5,000万円)だっという。
さらにカスペルスキーは、最近のICOの初期フェーズにおいて、投資家にトークンを買い占めさせる行為も発生している報告した。
いずれにせよ、投資家自身、ICOに参加する際にはそのプロジェクトに関わる人物・企業や背景などを調べるなど慎重な判断が要求されるだろう。
参考:SEC