多摩大学大学院教授である、國分俊史氏が座長を務める「ICOビジネス研究会」は5日、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)のルール形成について提言するレポートを発表しました。

ICOビジネス研究会は、多摩大学ルール形成戦略研究所が昨年11月に創設した研究会であり、三菱UFJフィナンシャルグループなどの3メガバンクや野村ホールディングス、大和証券グループ、東京電力ホールディングスなど13社が会員として参加しています。また、事務局長にはデロイトトーマツコンサルティングの執行役員である、荻生泰之氏が務めています。

他にもアドバイザーとして弁護士事務所や会計事務所も参加しており、政府からも自民党のIT戦略特命委員長を務める平井卓也氏も顧問として参加しており、官民共同で推進しています。

今回、研究会にてICOが発行市場では法規制等の明示的なルールが不在であり、当事者間の認識の不一致や投資家保護がなされていないケースが発生しているとして問題を指摘しています。

トークン発行について2つの原則を以下のように提言しています。

「1、サービス提供等の便益提供の条件や、調達資金・利益・残余財産の分配ルールを定義し、トークン投資家、株主、債権者等へ開示すること。」

「2、ホワイトペーパー遵守およびトレースの仕組みを定めて開示すること。」

上記は一見当たり前のような提言に捉えることができますが、このレベルの基準にすら満たされていないICOも散見されます。また、有識者によって原則が示されることによって、ICOを発行する企業にとっては、この基準が目安となり安心感が与えられると言えるでしょう。

実際、海外においてはICOに対して国ごとにルール作りが進んでいる事もあり、日本においても仮想通貨業界の流れが今後も進むことから大事な場面と言えるでしょう。今回の提言によって国がどのように法規制、ルール形成をしていくべきか指針になったのではないでしょうか。

参考:ICOビジネス研究会提言レポート(PDF)