2016年9月に、Ripple(リップル)社の元CEO(現会長)である、クリス・ラーセン氏は米ブロックチェーン企業R3社との契約に署名しました。その内容には最大50億XRPを0.0085ドル(約0.9円)で購入するオプションも含まれていました。

2018年1月現在、XRPは世界で2、3番目の市場価値となっており、このオプション契約は少なくとも100億ドル(約1兆1,200億円)の価値があり、双方は裁判で闘争中です。

2017年夏にはリップル社はR3社からの技術サポートなどに関して十分な貢献がなかったとし、反訴しています。また、R3社に対する反訴において、オプション契約を守る必要はないとしています。その理由は、R3社がパートナー契約を守らず、リップルの送金システムへどの銀行にも加入させることができなかったからです。

R3社のCEOである、デービッド・ラッター氏は、「ゴールドマン・サックス」、「JPモルガン」、「モルガン・スタンレー」などの強力なメンバーがR3社から辞退していることを知っていながらも、その事実をリップル社に知らせなかったため、契約は無効であるという主張です。

また、R3社は、リップル社を誘いこむために過大な表明していました。 例えば、R3社はリップル社に代わって大手リーディング・コンソーシアムにアクセスすると考えていましたが、リップル社の成功に役立ついくつかの重要な銀行が間もなくR3のコンソーシアムから離れることも知っていました。

契約法の専門家によると、R3社がゴールドマン・サックスのようなパートナーの離脱についてリップル社に知らせなかったことが「重大な違反」になるかどうかは判断が難しいとしています。

世界トップレベルの名門、マギル大学法学部のスティーブン・スミス氏はこの件に関して以下のように述べています。

「R3社の唯一の義務は援助を提供することであり、重大な過失でこの義務を怠った場合(この義務は些細な方法で破られる可能性があるため)その違反は明らかです。」

また、スミス氏は、以下の点に注目していると言います。

「ニューヨークの裁判所で当事者間が誠実に行動することを要求する、『契約の一般的効力』をどのように適用するのか、について注目しています。」

R3社は、Cordaブロックチェーンを銀行が選択することをリップル社に約束していましたが、ゴールドマンのようなパートナーの支持を失ったため、約束を実行できませんでした。

一方、リップル社は独自の努力を積み重ね、リップルのソリューションを使用する100以上の銀行をパートナーに迎えることを成功させました。

余談ですが、ウィンクルボス兄弟が、ハーバード大学の学生専用コミュニティサイト「ハーバードコネクション」を発案した際に、サイト制作の依頼先のマーク・ザッカーバーグ氏がこのアイデアを勝手に使い「Facebook」を作ったことで、ウィンクルボス兄弟がザッカーバーグ氏との間で行った法廷闘争に例えて注目されています。この時はザッカーバーグ氏が6,500万ドル(約73億円)をウィンクルボス兄弟に支払うことで和解しました。

XRPは、先週約3.5ドル(約390円)の高値をつけましたが、このXRPの価格上昇により、リップル社会長のラーセン氏は、マイクロソフト創設者である、ビル・ゲイツ氏に並ぶ世界で最も豊かな資産家の一人となったことでも話題となっています。

R3社とのオプション契約は、現在リップル社によって管理されている約550億XRPのうち約10%を占める50億XRP、当初の約45億円をはるかに上回り、今日では約1兆円にもなります。リップル社とR3社の訴訟合戦が裁判所の判決で白黒つくのか、それとも和解をもって決着するのか注目されています。

参考:FORTUNE