仮想通貨を巡って、さまざまな問題が議論されています。主にKYC(顧客確認)やAML(マネーロンダリング対策)が挙げられます。警察庁のまとめによると、2017年4月1日から10月1日までの半年の間で、仮想通貨交換業者による疑わしい取引の届け出が170件あることが明らかになりました。

警察庁によると、仮想通貨を悪用し、マネーロンダリング(資金洗浄)された事例のひとつとして、偽造の身分証明書(フェイクID)を使用し、仮想通貨取引所で架空の名義のウォレットを開設。その後、不正入手した他人名義のクレジットカードで仮想通貨を買い、日本円に交換後、架空の名義の口座に振り込ませた事例があったとしています。

これも十分許されない犯罪行為ですが、中には違法薬物などの売買や特殊詐欺など犯罪で得た資金を匿名性の高い仮想通貨に交換してマネーロンダリングを行う例も散見されます。こういった犯罪者による悪用は頻繁に起きています。

警察庁では、仮想通貨が犯罪に使われた場合にはその犯罪によって得た不正な資金の追跡が難しく、匿名性の悪用により、犯罪収益の移転に使われる危険性があると見ています。

一般の仮想通貨投資家であれば、このような行いは考えないと思いますが、マネーロンダリングの問題に関しては長い間議論されています。仮想通貨だけに限ることではありませんが、金融機関を介さないでも資金を移動させやすく、国外への持ち出しも簡単かつ匿名性が高いという点はユーザーとして便利な反面、大きな課題となっています。市場の健全化とともに、悪用など犯罪に使われないことが願われます。

参考:犯罪収益移転危険度調査書(PDF)