12日、SBIホールディングス株式会社はフィンテックを活用した、スタートアップや中小企業など非上場企業向けの資金調達を支援するプラットフォーム提供をするSBI CapitalBase株式会社を設立したことを発表しました。
フィンテックでの資金調達というと、主にICO(イニシャル・コイン・オファリング:仮想通貨やトークンの新規発行による資金調達方法)が代表的ですが、これに加え従来の株式や債券を使った方法など複数の方法で企業のステージに合った資金調達方法をサポートするとし、また、M&Aといった案件まで幅広く手がけるとのことです。
世の中には素晴らしいプロジェクトや人材が存在しても、自己資金だけでは資金力がなく頓挫してしまうケースも少なくありません。こういったICOのサポートを受けられるサービスは、これまでICOで資金調達をしたくてもやり方が分からないといった企業にとって求められていたのではないでしょうか。
国内ではこのようなICOサポートサービスは普及していなく、ICOに出資する投資家もごく一部のみといった閉鎖的環境であることが課題視されています。そのため、誤った情報を鵜呑みにしてしまい詐欺的なものに出資してしまうこともしばしば見られます。
SBI CapitalBaseでは、昨今成長目覚ましいブロックチェーン、ビッグデータ、AI(人工知能)の技術をもとに、より広範囲の投資家に対してアプローチすることを実現します。さらに、SBI証券、SBIインベストメント、SBIバーチャル・カレンシーズなどのSBIグループ各社と、国内外のパートナーとも連携し、顧客の開拓を行っていくとしています。
今年4月に施行された改正資金決済法により、仮想通貨の規制は日本国内では法整備も進められていて、仮想通貨交換業の登録も金融庁・財務局への届け出が義務付けられ、利用者保護の体制は世界でも高水準です。
しかし、ICOに関しては要件など明確な線引きができていないのが現状で、ICOへの投資は国内外問わず詐欺的な案件も多く、中にはホワイトペーパーがICOの最中に書き換えられてしまう場合もあります。こういったことが乱発されれば、ICO自体が法律で禁止されてしまうでしょうし、ICOという企業の資金調達の手段や投資機会が損失してしまいます。自主規制団体(JCBA:日本仮想通貨事業者協会など)によって、規制を巡る問題も議論されています。
こういった規制の遅れから、SBIグループのモーニングスターは11日に国内初となるICO格付けのサービスを2017年内に行うと発表しています。これは国内初の試みで、投資家保護の観点に比重を置いています。SBI CapitalBaseのICOサポートとモーニングスターのICOレーティングが連携することになれば、相乗効果は大きいのではないでしょうか。
ICOで資金調達をしたい企業とICOに出資したい投資家をつなぐ、SBI CapitalBaseのサービスによって近い将来、プロジェクトが大成する企業が現れるかもしれません。SBIグループの一環した仮想通貨事業の展開からも目が離せません。
参考:SBIホールディングス