8月7日、オーストラリアのSam Dastyari上院議員とJane Hume自由党上院議員が、オーストラリア準備銀行(RBA)に対し、ブロックチェーンの技術で、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの仮想通貨同様にオーストラリアドル(AUD)のトークン化を求め、これを検討していることを明らかにした。

AUDをトークン化すれば、ブロックチェーンによる多くの恩恵が得られるが、一方で多くの課題が出てくると考えられる。ビットコインやイーサリアムの特徴として分散化された台帳管理、いわゆる非中央集権が挙げられるが、オーストラリアの中央銀行であるRBAで管理するとなると、このシステム自体の前提が崩れてしまう。

これについては独自のノードネットワークを構築することで解消することは可能だが、一から開発するとなれば、時間や資金がかかり、あまり現実的ではないだろう。また、ネットワークの実証実験をするためにも、多くのコーディングなどの専門知識も必須だ。ブロックチェーンを構築するには、途方もない時間と資金などさまざまなものが必要になる。

そこで、実現に近い方法として既存のブロックチェーン上、例えばイーサリアム上でのトークン化も検討しているという。これであれば、既に分散型のネットワークが存在し、その上でAUDをトークン化することができる。

このような取り組みによって、銀行を通さずにAUDが送金できればユーザーにとって便利になることは間違いないだろう。日本にとっても中国に次ぐ二番目の輸出相手国のためメリットは大きい。しかしその反面デメリットも少なくない。

このあたりはもちろん考慮してのことだろうし、対策も考えているとは思われる。政治的な意見・立場もあるので、ここでは言及しないが、あえてAUDをトークンにする必要性があるのかと言えば疑問符が付きそうだが、このような考えも古いのかもしれない。オーストラリアは進化し続けるフィンテックの展望に積極的に考えており、議員たちはそれを実現させるためブロックチェーンに目を向けているという。

オーストラリアでは、今年7月から仮想通貨が非課税対象となり、法整備も進んでいる。このような中、次なる一手にオーストラリア国民ならずとも世界各国から動向が注目されている。

参考:TRUSTNODES