シンガポール金融管理局(MAS)が1日、一部のICO(イニシャル・コイン・オファリング、新規のトークンセール)について規制する可能性があることを発表した。ここ最近シンガポールでICOを使った資金調達が増加してきたことを受けての対応だ。
ICOの規制と言えば先週に米証券取引委員会(SEC)が、DAOトークンについて証券法違反として規制対象の可能性があると注意喚起を発表したが、MASによる今回の発表も同様の姿勢と見られる。
これからシンガポールでICOを行う際は、証券先物法の対象になる恐れのあるデジタルトークンを販売することを規制するということだ。また、取引所などでも、ICO後にトークンの売買取引などの提供も規制の対象になるとしている。
この「証券先物法の対象」の範囲に明記はなかったが、MASによる判断で線引がされると思われる。ただ、これは当局により仮想通貨に対する締め付けが厳しくなるといったことではなく、マネー・ロンダリング(資金洗浄)や、テロ資金などに対するリスクを回避することも検討のひとつとしている。
また、SFAに基づく有価証券の定義に該当する場合や、デジタルトークンの発行者が免除されない限り、トークンを販売する前にMASに登録する必要があるとしており、すべてのトークンが規制されるということでもないので、大きな影響はないと考えられる。しかしながらデジタルトークンと言っても多くの種類があり、一括りにしてしまうのは考えものだが、そのあたりは考慮しているようだ。また、ICOに関して基準を満たすため、法的助言の必要があればMASに相談するようにも呼びかけている。
中にはICOとは名ばかりの詐欺に近いものも多いため、このような法的な介入については日々議論が続いている。日本国内でも実態のないプロジェクトのICOなど、プレセールを騙った詐欺などの被害も見られる昨今、当局に登録を義務付けるなど規制をしていく時期なのかも知れない。