仮想通貨を代表するビットコイン(BTC)が8月1日ころに分裂する可能性があるということで、仮想通貨投資家たちの間では毎日のように話題となっている。

この分裂問題について、インターネット上やTwitterなどではフェイクや間違った情報、ムダに危険を煽る声も散見されるので、こういった場所を投資の参考にするのであれば注意が必要だ。

まず、ビットコインが分裂をする際、一番に懸念されている点として以前から問題の渦中に置かれているUASF(ユーザー・アクティベーテッド・ソフトフォーク)のBIP148という企画だが、これが実行される場合はUASFを支持しない中国のマイニング企業との対立によりブロックチェーンが分岐する可能性が高い。(UASFはSegwitというシグナルを搭載することでブロックの容量を確保するもの)

ビットコインのマイニングは中国の企業に強く依存しているが、中国のマイナーがUASFに反発する理由として、中国の企業が現行で行っているマイニング技術(ASICBoost)ではSegwitを搭載しているブロックをマイニングできなくなる可能性があるためとされている。

UASFを回避するには8月1日までにこの他の企画(BIP91)をマイナー側が支持し、実行する必要がある。これは7月24日ころにリリースされる予定となっており、この先8月の中頃にはSegwitが採用され、さらにその3ヶ月後にハードフォークをするという案だが、これが実行されるとやはりビットコインが分裂する可能性が高いという見方もされている。

そこで、中国のマイニング企業が打ち立てた案として浮上したのがUAHF(ユーザー・アクティベーテッド・ハードフォーク)という別のブロックを掘り進めるものでビットコインキャッシュ(BCC)というビットコイン(BTC)とは別の企画となる。

これが実行された場合は、8月1日以降にBTCとBCCに完全に分かれることとなり、別の仮想通貨としての扱いになると見られている。あくまで例としてだが、過去にTheDAOの件でイーサリアムがETHとETCに分かれても現在なお双方とも取引されているため、BTCとBCCに分かれることになっても、その価値が消滅するということはないと考えられている。

しかし、取引所によってはどちらを扱うのかは不透明なので、自身がビットコインの取引をしている取引所から正式にアナウンスがない場合は、一時ハードウェアウォレットに移動させるなど、保管の仕方も考えておいたほうが安全と見られる。

このようにビットコイン分裂を巡ってさまざまな案が出されており、ユーザーやマイナー、取引所など関連企業などによって、メリット・デメリットも異なるため、ここではどの案を支持するべきかは触れないが、いずれにしろ、回避策はあるものの8月1日の近辺では分裂する可能性がゼロになったというわけではない。日々続く議論に賛成派・反対派と意見も分かれるため、いまだ不透明なのが現状だ。

このところのビットコインブームとまで言える反響から、これからビットコインや仮想通貨の取引を始めるという方も少なくない。このあたりでの取引を行う際は慎重な判断が求められる。ビットコイン分裂問題について今後の動向を追って注目していきたい。