現在、国内で仮想通貨のビットコイン(BTC)で決済を受け付ける店舗やサービスが増加している。しかし、実際に利用される機会は少ないのが実情だ。ビットコインを普段から触らない方や、ビットコインを知っていても不信感を抱く方も少なく無いだろう。

ビットコインは危険なのか?

その要因として、2014年のマウントゴックスが起こしたビットコイン消失事件でビットコインと一緒に信用も消失したとの見方もされる。この事件は結局ハッキングなどによる消失ではなく、マルク・カルプレス氏の自作自演だったことが明らかとなり、逮捕に至ったわけだが、日本人にとってビットコインの印象が悪くなったことには違いない。しかし、この事件はビットコインには一切非がないことを多くの方は理解できないまま過ごしているのではないだろうか。マウントゴックスは当時大手取引所だったが、その他の取引所も現実に同じような事件を起こしている。

また、国内で買い物など、決済手段として利用する際も、わざわざビットコインに換金しなくても現金やカードでの支払いが定着しているため、メリットを感じられない、というのも普及が遅れている要因のひとつだ。しかし、かならずしも危険なものではないということは、ご理解いただきたい。

大手家電量販店のビックカメラは一部店舗でビットコインによる決済を受け付けた。中国では頻繁にビットコインが利用されるため、こういった外国人観光客からのビットコインでの支払いを狙ったものと見られる。

ビットコインは投資だけではない

ビットコインはボラティリティ(価格変動率)が非常に高く、株式や為替の相場の比ではない。実際に投資をしている方であれば、ご存知かと思うが日に10~20%の変動もざらに見られる。単純にドル/円で例えれば、昨日1ドル/110円だった相場が明日には1ドル/90円になっている、といったことが起こりうる訳だ。このような相場では、とてもじゃないが決済に使うことなど考えられない。絶好の投機として、投機家やイナゴ投資家が群がっているのが現状だ。

では、中国やロシアなど(これらの国だけに限らないが)でビットコインでの決済がなぜ普及しているのだろうか。これは自国の通貨に信用がなく、ビットコインの方が通貨として信用性が高いということを示している。

また、日本国内での支払いに関しても、レートの高い日本円に換金しなくても、ビットコインでそのまま支払ったほうが安く済むということも大きな要因だろう。これを見越して中国人による、日本製品の爆買いを狙ったビックカメラは先見性に長けている。ビックカメラに限らず、その他の店舗でもビットコイン対応の飲食店や小売店も増えている。実際に使われることがなくても、その話題性から宣伝効果は大きいという。訪日外国人による決済でビットコインを獲得し、シェアが広がれば日本人が決済として使う日は、そう遠くないとの見かたもある。

ビットコインはブロックチェーンという先進的な技術に基づいているめ、世界でも情報が進んでいる方が使っているような印象があったかもしれないが、その利用実態は認識と大きく異なり、ビットコインでの決済は、フィリピンやロシアなどの通貨が弱い国の方が使う機会が多いとは意外な話だ。

決済手段として当たり前の時代に

上述のとおり、自国の通貨に信用性が保たれていない国の方がビットコインを使い、多くの利用者は中国人が大方を占めていた。また、投資家や資産家などはドルや円の獲得にもビットコインに一時的に換金し、対ドルで取引をするなど、外貨獲得の手段にも使われていた。中国当局が仮想通貨に対して規制強化を行ったほどだ。また、中国だけでなく、自国通貨よりビットコインの方が信用されている国は多く、このためビットコイン相場は投機以外の資金流入も高騰の要因と考えられている。

まだ乱高下を続けている中、一般的にはビットコインなど仮想通貨に対して「怪しいもの」「裏付けも信用もない」「投機でしかない」という印象が先行している。ビットコインに遅れをとっている日本だが、ビットコインが普及している各国からのシェアが増えれば、いずれはビットコインでの決済が当たり前になる時代が訪れるかもしれない。