現在(6月19日)仮想通貨市場で時価総額2位の座から1位に迫る勢いを見せているイーサリアム(ETH)。新しいブロックチェーンシステムから、「ビットコイン2.0」とも称され、これの活用を見出すべく多くの企業が集まり「EEA(イーサリアム企業連合)」という企業連合を発足し、マイクロソフトやIBM、JPモルガン、トヨタなどが参加している。
ビットコイン(BTC)のブロックチェーンは取り引きの履歴を各ブロックに分けて記録していくというものだが、イーサリアムは履歴だけでなく、契約内容なども記録することができ、これによってブロックチェーンの可能性を拡張させたと言っても過言ではない。
イーサリアムは、国内大手の仮想通貨取引所「ビットポイント」で8月から取り扱いをすると発表があり、これも好材料となった。14日に1ETH/4万3,000円ほどだったが、翌15日はビットコインを追う形で下落。1ETH/3万6,000円台まで値を下げた。この後、18日まで相場を上げ、1ETH/4万2,000円近くまで取り戻し、19日には1ETH/4万円前後で推移している。
また、Googleが出資していると話題のリップル(XRP)にも注目したい。先週13日から15日にかけて仮想通貨が全体的に相場を下げていた中でも、粘り強く踏ん張っていた。16日に1XRP/28円台後半まで下げたが、この3日間で高騰を続け、19日には1XRP/31円台半ばを推移している。利確で売りも出ると思われるが、先のロックアップの発表もあったため、まだ値を付けるとの見方もある。
ここのところの相場動向でとくに大きな動きを見せたのがライトコイン(LTC)。「ビットコインが金ならライトコインは銀」という印象が強い。先がけてセグウィットを採用したことで話題にもなったが、15日に1LTC/3,200円台半ばを付けてから価格上昇、19日には1LTC/5,600円台半ばまで高値を付けている。この勢いはまだしばらく続くとの見方もある。ここのところビットコイン分裂問題(UASF)で持ちきりだが、リスクを取りたくないビットコイン投資家がアルトコイン(オルトコイン)を物色している今、ライトコインの相場にも影響をきたすと考えられている。
一方、この30日間で値を下げているネム(XEM)。5月23日に1XEM/30円台の高値を付けたが、同26日には1XEM/約21円と暴落をしている。その後、28日には25円台まで取り戻すも31日にまたしても20円台まで下げた。以降は25円前後でもみ合っていたが、今月17日には21円台前半。19日は22円台半ばだが、まだ下げてくるようなら買いも検討していいだろう。しかし、ネムはとくにボラが高いためここは慎重な判断が必要だ。
仮想通貨市場は時価総額で測るものではないが、やはりイーサリアムやリップル、ライトコインあたりが長期的な目線で見れば優勢だろうか。その他下位のアルトコインのダッシュ(DASH)やファクトム(FCT)あたりもここのところ元気だが、根拠なくイチかバチかで投資するのは危険だ。
改正資金決済法がこの4月に実施され、今後も国内での取り引きも活性化されると見られているが、現状ではまだ相場の動きが激しいため、投機として見られがちだ。今後、相場が安定してくるようであれば、通貨本来の意味どおり決済に使われる機会も増えてくるだろう。その時に仮想通貨投資を始めても決して遅くはないのではないだろうか。