13日~14日(米現地時間)、FRB(米連邦準備理事会)は、FOMC(米連邦公開市場委員会)にて、FF(フェデラルファンド)金利の誘導目標を0.25%引き上げることを決定した。この決定により、年1.00~1.25%のFF金利になる。今回のFF金利の引き上げは市場の予測どおりであったが、NY為替市場ではドル円相場が1USD/108円台まで一時下落。現在(15日19時)では109円台半ばまで回復している。

通常であれば利上げの通貨は買いだが、今回多くのドルが売られた。金利の高いドルに資金が移動することなく、逆にドルが売られた要因としては「インフレの通貨は売り」という経済の大原則が当てはまったと考えられる。

仮想通貨で金利は得られるのか?

金利が発生するのはなにも法定通貨の世界だけではなく、仮想通貨の世界でも同じで、金利の概念は仮想通貨であっても適用される。仮想通貨を代表するビットコインに置き換えて簡単に説明させていただくと、今持っているビットコインを誰かに貸すことで金利を得ることができるというわけだ。

仮想通貨の金利の場合は公定歩合のような公的金利ではなく、貸方、借り方の個人的な取り決めによる金利が発生する。この金利は主要通貨(主にドルなど)の金利の影響を受けるので、今後は仮想通貨の貸し借りの金利も上昇すると考えられている。

仮想通貨取引所の中には、信用取引を行いたいトレーダーのために仮想通貨の貸出を行っている取引所もある。貸株と同じ原理だが、仮想通貨の場合は取引所に貸し出す形になり、その仮想通貨で借り方が信用取引などを行っている間、金利を得ることができる仕組みとなっている。

ビットコインの貸出はリスキー?

取引所によって内容は多少異なるが、基本的にレートは個別取り決めで決定され、そのレートに納得がいかなければ貸さないこともできる。保有者は仮想通貨を貸し出しているので、信用取引を行っている人が反対売買(決済)を行うまでは手元に仮想通貨が戻ってこない。

つまるところ、約束通りに返してこない、あるいは取引所がハッキングされて戻ってこないということもあり、最悪のケース取引所が破綻した場合は、貸し出した仮想通貨だけでなく、取引所に預けている分まで戻ってこない可能性もあるのでかなりリスキーだ。そのため、ビットコインなど仮想通貨の貸し出しは今のところはオススメはできない。

実際にビットコインを取引所に預けておいたら取引所がハッキングされ、ベイルインした例も過去には起きている。2016年8月に起きたBitFinexのハッキングだ。中央集権型のビットコイン取引所がハッキングでビットコインが流出すると、その損失は顧客がもろに被ることになる。これとは別のケースだが、ハッキングを偽装したマウントゴックスのビットコイン消失事件などもあるので、取引所も慎重に選びたいところだ。

保有する仮想通貨を取引所を介して貸し出して金利を得ることは理論的には可能だが、どうしても貸し出したいという方はリスクを承知の上で判断をするよう願いたい。また、国内大手取引所でも資金を置きっ放しにするのはリスクが高い。取り引きを終えたら速やかに手元(ハードウェアウォレットなど)に戻すことを推奨したい。

FF金利でビットコインに資金流入は?

今回のFF金利の引き上げ実施でドルの買い戻しも予測されるが、インフレ通貨なのは紛れもない事実。ここのところ雲行きが怪しいが、長・中期ではまだまだ高騰しているビットコインにも注目が集まる中、ドル建てでの買いが集まるかもしれない。無論、その逆もしかりなので期待できるかは言い切れないのが現状だろう。

しかしながら、直近では値を下げてきているビットコイン。底値とまではいかなくても、利確が狙える範囲内であれば、今回の利上げをひとつの材料としてみるのもアリではないだろうか。ただ、為替市場と仮想通貨市場はまったくの別物なので、直接の資金の流入は見込めないとの見方もされる。仮想通貨市場では今後の予測が困難をきわめているが、相場動向には注目していきたい。