ヒンデンブルグ・オーメンは、1937年5月に米国で起きたドイツの飛行船「ヒンデンブルク」号の爆発事故に由来するもので、この事故が同年7月の米国株暴落の前兆だとする理論だ。1995年に数学者のジム・マイエッカ氏が考案したものだが、今ではテクニカル分析指標として重要視されている。

一度、このサインが点灯すると約41%という高確率でパニック売りが発生、有効期間は40日程度とされるのが一般的だ。ブルームバーグ・データによると、同サインは今回5月末に点灯、市場関係者の間で話題となっており、「Wall street journal」では3月からヒンデンブルグ・オーメンが出現していると伝えられている。

6月12日のナスダックの急落は、ヒンデンブルグ・オーメンの恐怖効果と言う声もあり、決して無視できない。ヒンデンブルグ・オーメン出現の条件は、以下の4つの事象が同じ日に起こることだとされている。

『ニューヨーク証券取引所(NYSE)での52週高値更新銘柄と52週安値更新銘柄の数が共にその日の値上がり・値下がり銘柄合計数の2.2%以上』『NYSE総合指数の値が50営業日前を上回っている』『短期的な騰勢を示すマクラレンオシレーターの値がマイナス』『52週高値更新銘柄数が52週安値更新銘柄数の二倍を超えない』。

2014年から2016年の間に、これら4つの条件に同時に到達しオーメンが点灯したのは、下記の8回。いずれも相場は下落している。(1ヶ月以内に複数回の点灯があった場合は、先頭の1回に包含されるものとする)

① 2014年5月②2014年9月③ 2014年12月④ 2015年1月(中国ショック)⑤2015年3月⑥2015年6月⑦2015年12月⑧2016年12月の計8回、すべて下落している。2010年の8月にヒンデンブルグ・オーメンが出現したときだけは下落しなかったが、今回の下落がヒンデンブルグ・オーメン出現によるものだとすれば、事は一大事となる。

ヒンデンブルグ・オーメンは米国株急落の前兆となる現象だが、為替相場とも無縁ではない。世界の金融の中心値で大地震が起きればそれは瞬く間に世界の株式市場、債券市場、為替市場へ波及していく。為替相場では元、ルーブル、南アフリカランドなどの新興国通貨が売られ、ドルや円、ユーロなどの安全通貨が買われることとなる。

このように、「新興国通貨売り/先進国通貨買い」ははっきりと出るが、「仮想通貨」に売り圧力が出るかどうか、現在バブル期と言われている仮想通貨市場だけに、今後の動向が注目される所である。