4月7日、京都大学の入学式の式辞にて、同大学のwebサイト上に米国の歌手ボブ・ディランさんの「風に吹かれて(原題:Blowin' in the Wind)」の歌詞の一部を引用し記載したことで、日本音楽著作権協会(JASRAC)が同大学に対して歌詞の使用料の支払いをするよう、求めていることが分かったと、5月19日付けで京都新聞が伝えています。

増加する著作権を巡る問題

問題とされる引用部分を見てみると、歌詞は一部で、引用元も明記されています。さらに、式辞の内容も、同大学の山極寿一総長の文言の方が主になっているので、著作権が発生するのか、引用と無断転載との線引については法律的に非常に難しいところでもあるかと思います。

先日も、ヤマハの音楽教室での演奏に関して著作権を支払うようJASRACが求め、これに対しヤマハは「音楽教育を守る会」を結成し、署名を集めるなどの活動をしています。ヤマハ側の立場からすれば、音楽教育の発展を阻害しているという考え方もできますね。

ネットでは賛否両論の意見が

今回の京都大学に対するJASRACの対応について、某ネット掲示板でも大きく話題となっていて、「さすがにこれはやり過ぎなのでは?」、「音楽潰しをしているとしか思えないカスラック」、「転載じゃなくて引用でもあかんのか…」、「行き過ぎた保護は衰退を招くだけだ」、「自由を重んじるボブディランが聞いたら顔真っ赤にして怒るだよ」、「音楽教室といいこれといい最近のカスラックはやり過ぎだろ」といったJASRACに対する否定的な意見も見られる一方、「漫画とか一コマでも申請してんだししょうがないね」、「引用するなら金払うの普通だろ」、「コピペで式辞を埋めたということになるなら著作権料を請求するのは正しい」、「代わりに面倒な著作権を管理くれてるから助かって感謝してるミュージシャンも多い」、「JASRACの方針なんだからきっとどこかに正当な理由があるはず」と、JASRACを擁護する声も見られます。

また、「YouTubeとかで事済ますからどんどん廃れていくんだよ存続させたいなら金落とせ」といった、CDなどが売れないことが原因とする意見もあり、賛否両論別れています。確かに、動画サイトなどに無断転載されてしまえば、CDや配信での売り上げに影響が出るので、音楽家にとって死活問題になるかと思います。

アーティストの著作物を守るという役割は非常に大事なことですが、ボブ・ディランさんは自身の歌詞を巡って、このようなことが起きて喜んでいるのでしょうか。

今回の件は、まさかの大学がJASRACに著作権料の支払いを求められるということでしたが、一般の方でもありうる話です。スマホでも音楽を聞く際は、作者に敬意を払う必要があります。GooglePlayMusicなど音楽アプリで視聴することができますので、ユーザーの皆様は不法に著作物を利用しないようお気をつけください。

参考:京都新聞