フランスの中央銀行は、10月のパイロットの一環として独自のデジタル通貨を利用した国債の取引を試行したことが明らかとなった。

フランスによる中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実験はEUのこれまでで最大規模の実験であり、試行中に500件近くのトランザクションが実行されたと国際決済機関ユーロクリアの声明で述べられている。

ユーロクリアによればIBMの開発したシステムを利用して試験が行われており、BNPパリバ、クレディ・アグリコルCIB、HSBC、ソシエテジェネラルとコンソーシアムを構成し、フランス最大の金融市場参加者のグループとともに取引が実行されたという。

フランス銀行は今年のはじめ、CBDCのリスクとメカニズムの理解のためにCBDCの実験アプリケーションの提案依頼書を公開し、卸売市場やクロスボーダー決済のためにCBDCを使用した多くの実験を行ってきた。

CBDC分野では先んじている中国は、一般消費者向けに国内市場で流通させるCBDCのテストも行っており、来年に北京で行われる冬季オリンピック中にも外国人へ向けてデジタル人民元のテストを拡大する予定を発表している。

経済大国としては異例のスピード感でCBDCへ乗り出している中国に比べるとEUや米国はこの分野で遅れをとっているが、ハードカレンシーに裏打ちされたステーブルコインは多く発行されており、国家による通貨流通にイニシアチブを求め、多くの国がCBDCの研究、開発に進んでいるところである。

IBMの金融市場のグローバルディレクターSoren Mortensen氏曰く「私たちは、貿易後の市場インフラの根本的な変化に向けて急速に動いています。」と述べている。