欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁は先週、自身のTwitterアカウントからデジタルユーロの開発に関するツイートを発信した。ラガルド氏曰く、ECBは人々の要求に応じるための技術は持っているべきだと語り、デジタルユーロについて2年間の調査を開始すると述べた。

ツイートには詳述として「A digital euro」と名付けられた文書へのリンクが貼られており、文書ではデジタルユーロが人々にとってどのようなものになり、ECBがどういった役割を果たし、デジタルユーロと暗号通貨がどのように違うかなどについてが述べられている。

ECBによればデジタルユーロはデジタル決済手段の効率性と、中央銀行の発行する現金の安全性を両方備えているとしている。

また、人々が現金を好んでいない状況をECBも認識しており、デジタルユーロの発行は現状に対処するために役立ち、EU圏内で生活している人々がEU圏外で発行および管理されているデジタル決済手段へ依存することを回避でき、金融の安定性と金融主権を損なう可能性について説いている。

デジタルユーロプロジェクトの立ち上げは7月に決定され、必ずしもデジタルユーロが発行されると決まったものではないが、発行する準備のもとにプロジェクトが立ち上げられていると説明されており、次の段階として10月から約2年間に渡り調査フェーズに入るという。

調査フェーズではデジタルユーロの設計と、デジタルユーロを小売店や消費者へとどのように浸透させていくか、また市場に与える影響や、必要となる可能性のある法律の変更などを検討していく。

その後は調査結果に従いデジタルユーロを実際に開発するか否かを決定し、開発する際にはテクノロジーと決済サービスを提供できる銀行や企業などと協力し、ソリューションを作成してテストしていくと述べており、これまでに行われてきた実験的研究において、デジタルユーロの発行には大きな技術的制限はなく、設計についてはたくさんの方法があることが示されていると述べられている。

文書とツイートに先立ち、ラガルド総裁は世界経済フォーラムの主宰であるクラウス・シュワブ氏とのインタビューにおいてもデジタルユーロについて話していた。

8月30日にTIME誌により行われたインタビューではシュワブ氏がラガルド氏に問いかける形で対話が進められた。インタビューでは現時点で直面している4つの重要な課題として「COVID-19」「気候変動」「ジェンダー平等」「新たなテクノロジー」が挙げられ、世界中が注目している話題の一つとして中央銀行デジタル通貨(CBDC)がピックアップされた。

特に現金の受け渡しにもリスクが叫ばれるコロナ禍において、支払いのデジタル化の重要性への認識は加速したように思われる。