海外のおいては一部の教育機関が卒業証明や、学位取得の証明としてブロックチェーンを用いるケースが報告されてきているが、日本においても同様にブロックチェーンが証明書として採用される流れが出てきている。
暗号化技術を用いて紙の証明書をデジタル化する技術の開発に取り組んでいるLasTrust株式会社が自社で開発を進めているブロックチェーン証明書発行システムであるCloudCertsと管理アプリであるSkill Walletに関する特許を12月16日に申請した。
現在一般的に使用されている紙ベースの証明書をデジタル化し、改ざん防止やコスト削減、さらに利便性の向上を図るとしてブロックチェーン証明書は今後多くの教育機関などで採用されたそうだ。
日本においても学歴詐称が発覚し社会問題となるケースが度々見られるが、発覚が遅れることによって損害が肥大化する可能性も高まる。そもそも学歴詐称が横行する原因の一つには手続きの煩雑さが挙げられるだろう。
運転免許証などと異なりこれといったフォーマットの定まっていない卒業証書や取得した学位の証明は、つまるところ厳密にやろうと思えば発行団体に直接問いあわせる他なく、全従業員の調査はされていないというのが現実問題としてある。
CloudCertsの提供するブロックチェーン証明書では、Open Badges規格準拠のデジタルバッジを表示でき、このバッジを発行する際の証明書を管理するシステムとしてSkill Walletの特許も出願された。バッジを見せることで簡単に資格の有無を誰でも確認することができ、ブロックチェーンによる管理のため資格の正当性も保証され、紛失を避けることにもつながる。
CloudCertsは現段階で教育機関、地方自治体、さらに資格提供団体や金融機関などにもサービスを提供している。
人事採用の際にスキルの確認が容易に出来るようになり、取得した本人にとっては保有している資格を簡単に開示出来ることで、不必要と判断し省略していたような技能に関しても参照されやすく、プロジェクトへのアサインなど抜擢される可能性を増やすことにもなる。
ともすると既存のデーターベース技術で十分とされる分野への進出も多いブロックチェーン技術であるが、証明書分野においては改ざんに対する堅牢性が求められておりブロックチェーンの得意とするところであり、仮想通貨に続く有用な活用方法であると見られる。
また、通貨取引のように頻繁な書き込みトランザクションは要求されない点もスケーリングが問題視されている仮想通貨との違いといえる。
証明書の発行元を保障するのがCloudCerts自身であれば、いわゆる私学と同様にCloudCerts自身の信用により証明書の信頼度も上下しかねない懸念もあるものの、例えば国家による認証を組み込むことが出来れば信用性を大きく上げる事もできるなど、仮想通貨よりも育つブロックチェーンの活用法となる可能性もあるかもしれない。
参考:LasTrust