中国政府が運営する「グレート・ファイヤウォール」もしくは「防火長城」と呼ばれるインターネットの閲覧及びアクセス制限をかけるシステムにより、中国内からEthereum(イーサリアム)のブロックチェーンを閲覧するEtherscan(イーサスキャン)へのアクセスを禁止されている事が、中国内のアクセス制限を観測するGreatfire.orgからの報告により判明した。

イーサスキャンへのアクセス禁止は少なくとも10月29日からで、アクセスを試みている他の団体によって少なくとも12月3日までその状態が続いている事が分かっている。仮想通貨メディア・コインテレグラフもEtherscanのCEOを務めるマシュー・タン氏に意見を求めているが反応が返ってきていないという。

防火長城はマカオ、香港を除く中国全土を股にかけるファイアウォールであり、万里の長城(グレートウォール)の電子版ということからグレート・ファイアウォールと呼ばれている。中国国内から様々な手段で壁越えは試されたが、中国共産党による相次ぐ規制強化で現在は中国国内から真実を追求しようとしても、防火長城がアクセスを遮断し様々な情報が手に入らなくなっている。

今回、防火長城がイーサスキャンへのアクセスを禁止した理由は判明されていないが、ある仮想通貨ユーザーがEthereumのブロックチェーンへ、政府にとって都合の悪い情報を記録したからではないかと言うのが専らの指摘だ。

防火長城内からはGoogleのような検索サイトやTwitter、Facebookと言ったSNS、LINEへもアクセス不能である。確認されうる限りでは2019年8月18日まではイーサスキャンへのアクセスも可能であり、今でも通信をすべて暗号化しIPアドレスも匿名化にするVPNを使えばアクセスは出来る。しかし、防火長城をめぐる様々な攻防の歴史から、VPNを使った手段もやがて無効となるだろうことが予測される。

この問題を受けてブロックチェーン投資サービスのSino Global CapitalのCEOのマシュー・グラハム氏は「非中央集権のブロックチェーンと、中国政府の中央集権がぶつかり合っている」と答えた。

非中央集権は多数決により民意の反映は正しく行われやすい反面、主導者がいないため方向性の決定に難がある。中央集権はその逆に主導者の思惑によって物事がスムーズに運ぶが、それが民衆の望む方向とは限らない。一国二制度が認められているはずの香港も飲み込まんとする中国共産党の支配だが、ブロックチェーンの自由はどこまで保障されるだろうか。

参考:greatfire.org