鹿児島市にある仮想通貨関連のビットマスターが、今月22日に東京地裁に破産申請を行い閉鎖となったことが明らかとなった。

ビットマスターは1986年に別名で誕生した会社で、元々は訪問販売などによって印鑑や家庭用浄水器などを売ったり、葬儀共済の会員の募集をしていた。2017年5月に社名変更及び仮想通貨関連企業として方向転換をし「日本初の仮想通貨ATM設置企業」と銘打って、ビットコインATMを置く代理店会員をセミナーを開くことなどで広く募集していた。

2019年8月には本社事務所が漏電によって火災に遭い復旧を行っていくと公表していたが、ビットコイン相場の上昇に伴う調達困難により破産を決定。今回の破産申告によって債権者は2万2369人となり、負債総額は約109億4400万円に上ると言う。

金額もさることながら争点となるのはビットマスターが行っているネットワークビジネスがねずみ講やマルチ商法に該当するか、という点にも及ぶ。マルチ商法も厳しく規制の掛けられた連鎖販売取引ではあるが、実際の商品がある以上は合法の商取引として認められている。しかしねずみ講は商材がないため総会員数が人口を上限の論理的に成り立たないシステムとなっており無限連鎖防止法によって明確に禁じられている。

鍵となるのはビットマスターが会員に支払うビットコイン報酬の成果地点にある。一般的なマルチ商法であれば商材の販売額を会員と組織とで分け合う形となるが、ビットマスターの場合は東京商工リサーチ福岡支社によると、ビットコインATM設置に関する営業会員を募り、知り合いを紹介することで報酬を得られる仕組みとなっていたという。

ビットマスターの公式サイトにはビットコインATMに関する詳細は見当たらず、動画にあらましは紹介されているものの、よくある質問ページなどテキストベースでは設置に関する報酬のことなどは書かれていない。

セミナーのスケジュールを見ると来年1月までの予定は公開されているため事業継続のための資金などは残っていると見られる。保有仮想通貨資産はコールドウォレットとして保管してあり、火災は破産の直接的原因ではないと思われる。

債権者集会は来年5月20日にホテルメルパルク東京で行われる運びとなっている。