自身のホームページに他人のパソコンでマイニングを可能とするソフト「Coinhive(コインハイブ)」を使用し、刑法の不正指令電磁的記録保管罪に問われ、1審で無罪判決を受けたサイト運営者の男性に対する控訴審の第1回公判が今月8日に行われた。

マイニングは仮想通貨の発掘作業をすることで報酬を受け取ることが可能だが、膨大なリソースが必要なため専用のマシンを使うことが多い。

その一方で、マイニングを簡易的に実施することを可能にしたサービスもある。

それが今回の裁判の争点となっている「Coinhive(コインハイブ)」で、ホームページ運営者は数行のJavaScriptのプログラムコードをウェブソースに書くことでサイト閲覧者に広告を表示させない代わりに、閲覧者のブラウザを通してマイニングをさせる仕組みである。

仮想通貨Moneroの報酬が受け取れるのだが、報酬金のうち7割がホームページ運営者で、残りが開発元のCoinhive Teamが配分となる。

但しCoinhive TeamはMoneroの暴落が続いたことなどを理由に、2019年3月にコインハイブの提供を終了している。

今回の裁判はウェブデザイナーとして働くホームページ運営者の男性が2018年3月末に、ホームページの閲覧をする際に無許可でコインハイブでマイニングするのは不正指令電磁的記録保管罪にあたるとして神奈川県警から摘発されたのが発端だ。罰金として10万円を求められ男性はそれに反対した。

争点としては他人のパソコンを無許可で、しかもリソースを大きく消費するマイニングをさせた事はコンピュータ・ウイルスの保管ともなる不正指令電磁的記録保管罪になるとしているが、そもそもコインハイブの設置がコンピュータ・ウイルスの保管になるという解釈には疑問が残る。

また弁護側としては閲覧者に無許可で動くものは広告もそうだと主張し、横浜地方裁判所で行われた今年3月の1審では無罪となっている。

しかし横浜地裁は広告とは違ってコインハイブはメジャーな類ではなく、閲覧者が承諾しているとはならないとしている。

それでも刑事罰を求めるのは納得できるものではないと、弁護側は主張するが東京高裁は11月29日に、被告人質問をする事を言い渡している。

参考:日本経済新聞