日本銀行で総裁を務める黒田東彦氏は、今月24日に大阪で開かれた講演会での場で、リブラについて「G7、G20としてもその在り方を共有し、規制について考えなければいけない」と考えを述べた。

黒田氏個人としては、今年7月に同じ様な考えを示しその詳細としては「犯罪対策は出来ているか?安定性は?支払い手段として十分に信頼できるものなのか?」とコメントを残している。

もちろん黒田氏個人の意見としてだけではなく、日本としてもLibraの影響を予測するために中央銀行や財務省、金融庁と共にワーキンググループを立ち上げている。

なお、24日の場では「ステーブルコインは社会的信用が認められられていないと、後々問題が起きてくる」とも発言したことも付け加えておく。

日本は世界的に見たら、特に先進国としては仮想通貨に寛容な国だが、同時に警戒も行っており、ここ最近はLibraの話題が頻出状態だ。

ではなぜLibraにそこまで慎重なのか?

それには幾つかの理由が言われている。まず一つが法定通貨と似ている点で、ドイツ週刊誌「シュピーゲル」の発表によると、Libraの構成比率は米ドル50%で日本円14%であると報じている。

このようにLibraは多くの仮想通貨とは違い価値が安定しやすいように作られている。

また、VISAやPayPal(ペイパル)、Spotify(スポティファイ)と言った名だたる25社の企業と連携を取っており、最終的には100の企業・団体と手を組む予定だとしている。

そしてKYCと言う本人確認義務が、Libra全体としては必ずしも必須になっているわけでない点も指摘されている。必要なはずの本人確認が必須でないのは、十分に気を付けるべき点だ。

Libraの登場で法定通貨の価値が危うくなると言われているが、確かに一企業が始めた仮想通貨に国が警戒を示していることからも、それは肌感覚でも分かるものでもある。民間のそれが国のお金の価値を変えるというのは絵空事のように思われてきたが、それがやってくる日が来るのだろうか。引き続きLibra関連の動向に注目していきたい。

参考:REUTERS