欧州中央銀行(ECB)がステーブルコインに関するレポートを発表した。過去1年間でステーブルコインは急成長しており、ECBとしても資金の流れについて興味を持っていると見られる。
レポートによれば、ステーブルコインによってはガバナンスや規制上の取り扱いについて大きな不確実性があると指摘している。
まずECBはステーブルコインを4つの分類にわけている。
「トークン化された資金」、「オフチェーンの担保付ステーブルコイン」、「オンチェーンの担保付ステーブルコイン」、「アルゴリズム型のステーブルコイン」としている。
ステーブルコインとしてよく知られているテザー(USDT)においてはトークン化された資金に分類されており、カストディアンであるテザー社がこれの裏付けとして米ドルを保有している。
しかし、以前このテザー社が裏付けとされている米ドルを保有しているのか疑問の声が上がったこともあり、ステーブルコインによりカストディアンとなっている発行者が曖昧なガバナンスをしていることでリスクが高まる可能性がある。
それに対し購入しようとする投資家に対してはリスクが高まるとして、ステーブルコインの懸念材料としてECBは指摘している。
ステーブルコインが社会に広く導入するにはガバナンスの改善が必要とも指摘しており、日本円を例とすると、日本銀行がしっかりしたガバナンスを持つことで円が安心して使えるのと同様と言える。
国によっては法定通貨を発行する政府側はコントロールすることで、法定通貨の価値が損なわれていくこともあり、ECBの指摘は当然の判断と言える。
それとは反対に明確なガバナンスの備えているステーブルコインに対し、規制当局側の認識の甘さが障害になるとも指摘しており、ステーブルコインの発行者、規制当局の双方に対し、ガバナンスに対する認識がとても重要と指摘している。
参考:ECB